顧客対応でファンを増やす(第4回) 機内・車内の移動中でも無料でネット

Wi-Fi スマホ顧客満足度向上

公開日:2017.09.13

 スマートフォンやタブレットが普及し、Wi-Fiでインターネット接続する機器が街にあふれるようになってきた。出先でも無料のWi-Fiでインターネット接続ができれば、パソコンでの利用はもちろん、スマートフォンでも携帯電話会社による通信パケットの容量制限を気にせず、快適な通信環境が得られる。さらに、国内の携帯電話会社と契約していない訪日外国人にとっては、無料Wi-Fiは大事なライフラインともいえる。

 無料Wi-Fiは、国内でも鉄道の駅やコーヒーショップ、ファストフード店などを中心に、一定の広がりを見せている。最近は、公共交通機関の“車中”でも無料Wi-Fiを提供する動きが加速している。電車やバスといった地上・地下を走る車両の中はもちろん、空を飛ぶ航空機の中でもWi-Fiが使えるようになってきた。移動中でも無料でネットに接続できる環境が整いつつある。

 航空機内のWi-Fiサービスは、比較的古くから国際線を中心に提供されてきた。とはいえ、それは決して安くはない有料のサービス。飛行機の中でも仕事をし続けなければならない、ビジネスパーソンに向けたものという印象が強かった。そんな中で、日本航空(JAL)が2017年6月、国内線における機内インターネット接続サービスの無料化を発表した。

 JALでは、2014年7月から国内線で衛星を介した機内インターネットサービスを導入してきた。当初は有料のサービスだったが、15分間の無料利用キャンペーンの実施、2017年2~8月には期間限定で時間無制限の無料利用キャンペーンを開催するといった具合に、サービス拡充に力を入れてきた。

 そしてついに、2017年8月の無料キャンペーンの終了を機に、「ずっとWi-Fi無料宣言」をアナウンス。今後は、期間限定のキャンペーンではなく、いつでも機内で無料Wi-Fiを利用できるようになった。

 対象となるのは、JALおよびグループ会社の日本トランスオーシャン航空(JTA)の国内線で機内Wi-Fiサービスに対応した飛行機を使用した便。離島などを結ぶ一部の路線を除き、かなりの国内路線で機内Wi-Fiが使えるようになる。

離陸時の5分を除き、無料でWi-Fi

 離陸の約5分後から着陸の約5分前までというフライト中のほとんどの時間で、無料Wi-Fiによるインターネット接続を楽しめるのだ。メールチェックはもちろん、到着地の情報をWebサイトで検索したり、SNSに機内から見えた富士山の雄姿をその場でアップロードしたりするコミュニケーションに使える。

 JALと並ぶ大手航空会社の全日本空輸(ANA)も、国内線で機内Wi-Fiサービスを提供するが、2017年7月時点では「有料」または「ANAのマイルを利用してのサービス」との位置付けだ。

 飛行機の機内で無料Wi-Fiが使えるなら、地上や地下を走る電車やバスの対応状況はどうなのだろうか。こちらは首都圏を中心に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、動きが活発になってきた。

 東日本旅客鉄道(JR東日本)では、都心部と成田空港を結ぶ特急の成田エクスプレス(N’EX)で、無料の「JR-EAST FREE Wi-Fi」サービスを提供する。訪日外国人が日本に到着して、都心部への移動中にインターネット接続したいというニーズに応えるものだが、もちろん日本人も利用できるサービスだ。

 同様に空港からのアクセス路線で無料Wi-Fiサービスを提供しているのが、浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレール。2016年10月から全駅、全車両で無料Wi-Fiが利用できる。

 西日本では、観光列車で無料Wi-Fiの提供を始めるケースが増えている。近畿日本鉄道では観光特急「しまかぜ」で「しまかぜFree Wi-Fi」のサービスを導入し、無料接続を可能にしている。西日本鉄道でも柳川観光列車「水都」の車両、デザインを7月に一新した際に「Nishitetsu Train Free Wi-Fi」のサービスを開始した。

地下鉄やバスは車内でもサービスを提供

 都市部の地下鉄でも、車内で使える無料Wi-Fiサービスが一部で始まった。東京都交通局の都営地下鉄は、2016年2月に地下鉄車内での無料Wi-Fiサービスを開始、2017年1月末時点で都営浅草線の全27編成と、都営大江戸線の全55編成中15編成でサービスを利用できる。今後はサービス拡充を進め、都営地下鉄の4路線すべての編成で2020年3月までに無料Wi-Fiサービスを利用できるようにする計画だ。

 東京地下鉄(東京メトロ)も無料Wi-Fiの取り組みを始めた。2016年12月に銀座線の1編成で無料Wi-Fiサービスを開始、2017年3月時点で、銀座線5編成でサービスが利用できるようになっている。浅草や上野といった訪日外国人観光客が多い地域を走る銀座線で先行してサービスを提供。銀座線では2020年までにすべての編成で無料Wi-Fiのサービス導入をめざす。このほか、丸ノ内線、日比谷線でも新型車両の導入に合わせて、無料Wi-Fiサービスが始まる見通しだ。

 バスでも車内で無料Wi-Fiを利用できるようにする動きは加速している。乗車時間が長い高速バスでは、北海道内を走る都市間高速バスや関東の京成バス、関西の阪急バス、西日本ジェイアールバスやジェイアールバス関東などが無料Wi-Fiサービスを提供する車両を走らせる。路線バスでも無料Wi-Fiの取り組みがある。東京都交通局の都営バスではすでに全路線で無料Wi-Fiのサービスを提供、東京西部を走る京王バスでも無料Wi-Fiサービスを行う。

 東京オリンピック・パラリンピックに向けた訪日外国人への対応といった追い風もあり、無料Wi-Fi導入は着実に拡大中だ。Wi-Fiは、家庭やオフィス、駅やコーヒーショップといったピンポイントの通信インフラとしてだけでなく、移動しながらのインターネット接続のインフラとしても成長を続けている。

執筆=岩元 直久

【MT】

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