顧客対応でファンを増やす(第1回) 繁盛の象徴である行列で顧客満足度を悪化させない

顧客満足度向上

公開日:2017.01.06

 店舗を設けてビジネスを行っている経営者にとっての悪夢は、店内に客がおらず閑古鳥が鳴いている状況だ。逆にいえば、常に客の行列ができている状態こそが繁盛の象徴といえる。その状態が「あんなに待ってまで買いたい商品があるんだ」という“看板”になり、新たな客を呼び込むという好循環を生む。

 しかし、そんな好循環に油断していると落とし穴もある。長時間待たせると、顧客満足度が低下することもあるからだ。待っている間に客の期待するハードルはどんどん上がっていく。それをクリアし続けるのは非常に難しい。

 お店の入り口に待ち行列ができる。この状態自体はお店を経営する側にとって、決して悪いことではない。大切なのは行列をなくすことではなく、それを一定レベルにコントロールして、顧客満足度に悪影響を及ぼさないようにすることだ。

 行列を一定レベルにコントロールする方法にはどんなものがあるのだろうか。すぐに考え付く方法として、客の人数に合わせて販売窓口を増やす、客席を増やすといった対応が考えられる。しかし、これらを実行するには、資金的、人的な問題で難しいケースが多いだろう。

 それなら、効率アップで生産スピードや販売スピードを上げるといった手段も考えられる。飲食店でいえば調理スピードを上げる。物販店でいえばレジやラッピングの手順を見直すといった方法だ。これらはビジネスを行う上で非常に大切で、経営者として真剣に取り組む必要があるが、必ずしも即効性が高いとはいえないのが弱点だ。

 上記のような根本的、長期的な解決を検討している中で、まずは手軽にできる方策として、整理券を発行したり、待ち時間の目安を示したりする手段がある。これらは昔からあるが、かなり効果的だ。行列に並ぶ客の大きな不安は「いつになったら受け付けてもらえるのかが分からない」ことだからだ。

待ち時間の不満の解消方法

 整理券を発行して順番を示せば、どのくらい待てばいいのか推測できる。それほど厳密でなくても待ち時間を示せば、「それだけの時間待つ必要があるのかどうか」の判断を客自身が下せる。こうしたジャッジメントを自分で下したのなら、顧客満足度の低下をある程度は防げる。

 行列ができることで有名な東京ディズニーランドでも、さまざまな手段で待ち時間を告知し、人気アトラクションには「ファストパス」という整理券システムを用意している。顧客満足度を追求するディズニーランドの姿勢を考えれば有効性は明らかだろう。

 こうした対策以外に、もう1つ有効な対策がある。それは客が待っている時間を楽しい時間に変えることだ。待ち時間が有効に使えて楽しいと思えれば、顧客満足度は低下しない。ただ、ビジネスである以上、コストの制約はある。お金をかけずに、待ち時間を楽しんでもらう工夫が必要だ。

待ち時間を楽しい時間にしてしまう

 待ち時間対策として、昔から行われてきたのが、本や雑誌、新聞などを置いておくことだ。スポーツ新聞や漫画雑誌などを置いている飲食店は珍しくない。窓口で待たされることが多い金融機関は上記の整理券システムを導入した上で、生活情報誌や健康雑誌などを用意しているのはご存じの通りだ。

 ただ、本や雑誌を自由に読んでもらうというサービスは、座って待つことができる飲食店、金融機関、病院などにはマッチしているものの、店の前で行列をつくって並ぶケースでは導入が困難だ。また、嗜好が多様化している現在では、よほど多くの本や雑誌を用意しないと興味をかき立てられないだろう。

 それに代わる方法として、ヒントになるのが電車の乗客の様子だ。以前だったら、電車の中で、新聞や雑誌を読んでいる乗客の姿を頻繁に見かけたはずだ。それが近年、スマートフォン(以下、スマホ)に置き換わっている。それも、座っている乗客だけなく、立ったままでも操作している。乗車時間という“待ち時間”を消費する方法として圧倒的多数が選ぶのがスマホなのだ。

 現状でも店の前で行列をつくっている客がスマホを操作しているケースを見かけるはずだ。それをサポートすることが待ち時間の不満解消対策になる。例えば、充電用の電源を用意してもいいだろう。あるいは、無料のWi-Fi環境を用意する方法もある。こうした心配りが長い待ち時間による顧客満足度の低下を防止する効果的な方法といえるだろう。Wi-Fi利用可の“看板”を表示すれば、新たな顧客創出につながるかもしれない。

執筆=高橋 秀典

【MT】

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