ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
「妖怪ウォッチ」や「ポケットモンスター」など、現代は子ども世代に向けたヒット商品が数多く世に送り出されていますが、それは今の「大人世代」が子どもの頃も同じ。現代ほどハイテクではないものの、数多くの子ども向け商品が販売されました。本連載では、こうした「懐かしの子ども向けヒット商品」の裏側を探ります。
初回で紹介するのは、70~80年代に発売されたロッテのおまけシール付き菓子「ビックリマンチョコ」です。 ビックリマンチョコは、当時は1個30円という格安のお菓子でしたが、その安いおまけのシール付きチョコ菓子が、最盛期には年間に4億個も販売されました。なぜ、単なるチョコ菓子とシールのおまけが大ヒットに結びついたのか。その原因を探っていきます。
ビックリマンチョコが販売されたのは1977年から。販売初期は、本物そっくりに描かれた虫や画鋲、魚の骨などの「いたずら」用シールが封入されていました。それを家具や床などに貼り、誰かを「ビックリ」させようというのがコンセプトでした。
ビックリマンが社会的なブームとなったのが、1985年から発売された「悪魔vs天使」シリーズです。このシリーズから、おまけシールの絵柄にオリジナルのキャラクターイラストが描かれ、絵柄が2カ月ごとにバージョンチェンジされるようになりました。さらに、キャラクターは「天使」「悪魔」「お守り」という3グループに分かれ、「天使とお守りが力を合わせ悪魔を倒す」というストーリーが設定されました。
この「悪魔vs天使」シリーズに、当時の子どもたちは熱狂しました。ビックリマンのキャラクターを元としたゲームやアニメ、映画が生まれました。シールだけ集めてチョコレートを捨てたり、俗に「大人買い」と呼ばれる大量購入がされたりして社会問題になるほど、マイナス面での影響も見られました。
しかし、ビックリマンをはじめとする食品とシールなどのおもちゃをセット化した「おまけ商法」自体、当時としては珍しくないものでした。ビックリマン以前にも、「野球カード」や「ミニカー」などをセット化したお菓子はありました。
ビックリマンのヒットの裏には、2つの要素が絡んでいました。
ビックリマンが従来のおまけ付きお菓子と異なっていたのが、その独特の世界観です。
ビックリマンシールの裏側には、ビックリマンの世界観が短い説明文で紹介されており、各キャラクターの説明文を合わせることで、やっと全体的なストーリーの流れが理解できるという、まるで古文書を解読するような仕掛けがありました。ビックリマンは原作となるマンガやアニメがないため、そのストーリーを把握するには、シールを集めるしかなかったのです。
さらに、シールが出る確率が一定ではない点も熱狂に拍車をかけました。例えば「ヘッド」と呼ばれる、キラキラと光るホログラムシールは、「悪魔」や「お守り」などよりもさらに出現率が低い貴重なものでした。
この結果、当時の子どもたちは「ヘッドのシール持ってる?天使2枚と交換しよう」「たまたま同じヘッドのシールが2枚も出たから、別のヘッドとトレードしよう」といったように、仲間同士でそれぞれの手持ちのカードを交換するようになりました。まるでシールが子どもたちの共通言語のような価値を持っていたことも、人気を支えた理由の1つでした。
ビックリマンは現在も「ビックリマン伝説」という名の「悪魔vs天使」シリーズが販売されており、さらに、プロ野球やアニメ、アイドルなどのコラボ商品も相次いで発売されています。この10月には、人気マンガ「ワンピース」のコラボシールが封入された「ワンピースマンチョコ」も新たにリリースされています。
繰り返しになりますが、「おまけ付きお菓子」というジャンルは、ビックリマン以前にもありました。その点においては珍しいものではありませんでしたが、ビックリマンはそこにストーリー性と、シールに価値を持たせたことで、時代を代表するヒット商品となりました。既にある商品ジャンルでも、消費者の心に火を付ける「何か」があれば、ヒット商品は作れるのです。
執筆=味志 和彦
佐賀県生まれ。産業技術の研究者を経て雑誌記者など。現在コラムニスト、シナリオライター。
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懐かしのヒット商品