情報システムの最新トレンドを一挙に紹介(第3回) 近未来ネットワーク体験「Interop Tokyo 2016」

IoT・インフラ

公開日:2016.06.17

 2016年6月8~10日、千葉市・幕張メッセにおいてInterop Tokyo 2016(主催:Interop Tokyo 実行委員会)が開催された。システムの相互運用性を意味するInteroperabilityから名付けられた本イベントは、最先端の情報通信技術を紹介する国内最大級の展示会だ。今回は出展社数529社、来場者数14万945人を記録。活気に満ちた雰囲気での開催となった。

 ICT分野の一般的な展示会は、競合関係にある企業が自社製品をアピールし、競い合う場になっていることが多い。しかしInterop Tokyoは相互接続がテーマにあるため、参加企業は原則としてお互いの連携を前提とした展示を行っている。これは実際にシステムを運用するユーザーにとって、より広い視野で業界を見渡せるというメリットがある。

 Interop Tokyoの会場では、頻繁に講演やセミナーが行われる。気軽に最新情報を入手できるので、エンジニアに限らず、インターネット活用に取り組むすべてのビジネスパーソンにとって参加する価値が大きいイベントだ。

 今回、Interop Tokyoの主催者が注力した主なキーワードは、「IoT」「SDI/NFV」「セキュリティー」の3つ。イベントのポイントを紹介しよう。

 毎日のようにIoT(Internet of Things)関連のニュースが報じられている。政府の成長戦略にもIoTの導入推進が盛り込まれ、日本の将来を左右する要素の1つといわれている。いわゆる「モノのインターネット」を実現するためには、家電製品や自動車、ロボットをはじめ、身の回りにあるさまざまなモノとインターネットを接続することが必要だ。

新時代のメガトレンド「IoT」

 そのために欠かせないのが、Interop Tokyoのテーマである相互運用性だ。「あらゆる機器をインターネットに接続する」という考え方は、Interop Tokyoが初めて開催された1994年当時から、常に本イベントのメーンテーマとして位置付けられてきた。今回は会場内に特別企画「IoT World」コーナーが設けられ、IoTを推進する企業、研究機関の活動状況を紹介するオープンステージやブース展示が入場者の注目を集めていた。

 IoTとともに近年注目されているのが「仮想化」技術だ。コンピューターネットワークは従来、それぞれの機器を物理的に接続して個別に設定、制御する必要があった。これらを1つのソフトウエアで統合し、集中制御しようという技術をSDN(Software Defined Network)と呼ぶ。

 SDNはネットワークに関わる概念だが、もっと広い視点から見たキーワードにSDI(Software Defined Infrastructure)がある。今回のInterop Tokyoでは、インフラの仕組みづくりまで視野に入れたSDIがテーマに設定された。専用機器を使わず汎用サーバー上でネットワークを制御するNFV(Network Functions Virtualization)のキーワードも盛り込み、仮想化に関する最新動向が紹介された。

すべてのカギを握るセキュリティー

 IoTや仮想化といった最新技術を語る上で避けて通れないのが、セキュリティーの問題だ。近年多発している情報漏えい事件の多くには、高度なインターネット技術が悪用されている。インターネットの歴史はセキュリティー対策の歴史でもあるといえる。Interop Tokyoでは、セキュリティー対策に取り組む企業/団体への情報発信をテーマとした「Security World」ゾーンを設け、さまざまな脅威に対する知見や具体的な対策手法に関する講演、展示が行われた。多くの来場者がこのエリアで足を止めていた。

 Interop Tokyoでは、来場者に最新のインターネット技術を体験してもらうためのユニークな取り組みが行われている。その1つがShowNet(ショーネット)だ。これは参加企業が会場に持ち寄ったネットワーク機器を相互に接続して、実験運用するというもの。相互接続性の検証というInterop Tokyoの歴史の原点ともいえるイベントだ。

 今回は、約90社から提供された最新機器を用いた近未来型の高速ネットワークが構築された。数あるデモンストレーションの中でも、多層防御のデモなど、セキュリティーの最新対策を紹介するデモが目を引いた。IoTにせよ仮想化にせよ、セキュリティーを確保できないと実用段階で問題が生じる。セキュリティーソリューションの構築に力を入れる各社の意気込みが感じられた。

インターネットの「今」と「未来」を知る機会に

 会場内では、インターネット関連技術をテーマにした4つの同時開催イベントも行われた。「デジタルサイネージジャパン」は街中のメディアとして存在感を増しているデジタルサイネージにフォーカスし、最新技術と活用法を紹介。「Connected Media Tokyo」はデジタルメディアを活用した技術をクローズアップし、インターネットを活用した放送・通信システムが展示された。

 また、「ロケーションビジネスジャパン」では、活用の期待が高まる空間情報をいかに新ビジネスにつなげるかをテーマに、そして「APPS JAPAN」では教育や医療など、多様な分野で活用が期待されるアプリケーションの紹介が行われた。

 今年で23回目の開催となるInterop Tokyoは、インターネットをテーマにした産学連携イベントとして存在感を高めてきた。まだ商業利用が一般的でなかった当初、会場で語られていた未来像が今になって次々と具現化されている。今後はその最新技術を社会にどう生かすのかが重要なテーマになることは間違いない。

執筆=林 達哉

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