ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
オフィスのワークスタイルが変化しつつある。ポイントは「場所を気にせず働く」ということだ。パソコンがまだ高価だった時代、共用のパソコンデスクがあって、文書を作成したり、伝票処理をしたり、情報を検索したりする必要のある「人間」が、そこに出向いて仕事をしていた。その後、急速にパソコンの価格が下落し、1人1台のパソコン環境が実現、有線LANで結ばれた。その結果、各自のデスクで仕事ができるようになった。これにより働きやすくはなったが、仕事の場所が固定されていることには変わりはなかった。
しかし、最近はノートパソコンや、タブレット、スマートフォンなどのスマートデバイスの利用が当たり前になったことで、働く場所の制約がなくなりつつある。それを可能にしているのが、無線LAN(Wi-Fi)だ。
Wi-Fiでまず思い浮かぶのは、カフェ、ファストフード店、あるいは駅やホテルといった場所での利用だろう。このような場所で不特定多数がネットワークを利用するために使うだけでなく、家庭でもWi-Fiを使ってインターネットに接続するケースも増えている。こうした家庭での利用だけでなく、Wi-Fiはオフィスなどで、ビジネスのインフラとしての活用も進んでいる。
すでに多くの企業が、社内ネットワークのインフラとしてからWi-Fiを導入し始めている。有線LANと比較した場合、Wi-Fiは伝送量が少なく大量のデータが扱いにくいという弱点があったが、最近の技術的進歩によって解決されている。業務インフラとしてのニーズを十分に満たすものになった。
Wi-Fiを用意すれば、パソコンをどんな席でも利用できるようになる。それによって、自由に業務の場所を変えて働く「フリーアドレスオフィス」の導入が可能だ。会議室などでパソコンを使う際も、いちいち線を付けかえて社内ネットワークに接続しなくてもよいため、手間が省ける。
社内ネットワークの構築にコストがかけられない企業こそ、オフィスへのWi-Fi導入を検討すべきだ。これをきっかけにワークスタイルの変革に挑もう。
例えば、Wi-Fiが設置された共用の会議スペースなどに集まってグループで打ち合わせを実施する際にも、資料をいちいちプリントアウトする必要はない。メンバーが持参したノートパソコンからWi-Fiで共用のファイルサーバーにアクセスして資料を端末画面に表示できるからだ。よって、オフィスのペーパーレス化にもつながる。
社内にWi-Fiを導入すると、働く場所の概念に変化が起きる。「自分専用のパソコンが置かれた自席でなければ業務ができない」という束縛から解放される。業務用のノートパソコンや、社内ネットワークに接続を許可されたタブレットなどを使って、場所を問わずに仕事ができれば、会社の組織を超えた働き方も考えられる。フリーアドレス制を正式に導入しなくても、自然に業務と場所の関係に変化が起きることも考えられる。
例えば、会議から移動中の休憩スペースで他部署の社員と立ち話になったときに、業務改善の話題が上ったとしよう。Wi-Fi環境があれば、その場で手持ちのノートパソコンやタブレットで資料を確認しながら議論を深めることができる。さらに、アイデアを忘れてしまわないために、すぐにグループウェアの提案ボックス等に社内投稿するのも可能だ。
Wi-Fiを導入することは、表面的には、社内ネットワークやインターネットへのアクセスを無線化するという物理的な変化にすぎない。しかし、それを、働き方を変え、組織を超えたコミュニケーションを生むきっかけにすることができれば、費用対効果が非常に大きい投資になるはずだ。
もちろん、コスト削減も大きなメリットだ。レイアウト変更に伴うネットワーク関連の工事について軽減するだろう。中小企業はフットワークが命といわれている。ニーズに対応するための人員配備が滞っては高い競争力を持てない。LANケーブルの増設や移設、人員増に対応するためのスイッチなどの設備増強が不要になれば、投資コストはすぐ回収できるはずだ。
執筆=岩元 直久
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