トレンドワードから効率化を読む(第2回) クラウドAIとエッジAIの違いを解説

自動化・AI IT・テクノロジー

公開日:2020.03.13

 AIは私たちの生活に浸透しつつある技術ですが、AIの中でも「クラウドAI」や「エッジAI」と呼ばれるAIの違いはご存じでしょうか。クラウドAIやエッジAIにはそれぞれに特徴があり、利用されるシーンも異なります。今回はAIの概要からおさらいし、クラウドAIとエッジAIの違いについて解説します。

そもそもAIって何?

 そもそもAIとは何なのか、ここで軽くおさらいしましょう。AIは「Artificial Intelligence」の略称であり、日本語で表すと「人工知能」となります。人工的につくられた人間のような知能や技術を表す言葉です。

 AIを活用することで、日常生活を便利にしたり、日々の業務の効率化をしたりすることが可能です。現在では自動車の自動運転やビッグデータ解析、業務の可視化にも活用されています。

 中国・米国を中心に世界規模でAIは注目されており、情報処理推進機構(IPA)によれば、「AIは産業構造の転換である」といわれるほど、今後の私たちの生活に重要な技術になりつつあります。

クラウドAIの基本

 クラウドAIとエッジAIの違いは、動作する環境の違いにあります。はじめに、クラウドAIの特徴や利用されるシーンについて見ていきましょう。

<クラウドAIとは>
 クラウドAIとは、文字通りAIに必要な処理をクラウドで行うことを指します。

 クラウドは、インターネットを介してコンピューター資源を、サービスとして提供する利用形態です。そのため、クラウドAIはインターネットを介してAI処理を行うAIの動作形態となります。

 Microsoft社やAmazon社、Google社が提供するクラウドサービスでは、AI開発のためのサービスも提供されており、比較的容易にAIを活用することが可能です。AIを実装するためのコンピューター資源を手軽に利用できる点は、クラウドAIの大きなメリットでしょう。

 しかし、インターネットを介するため、機密情報を扱うことが難しかったり、反応に遅延が発生したりというデメリットも存在します。リアルタイム性が求められるAIの場合、クラウドでは実装が難しく、クラウドAIとクラウドを利用しないエッジAI(エッジAIについては後述します)の2つを使い分けなければなりません。

<クラウドAIが利用されるシーン>
 クラウドAIが利用されるシーンとしては、次の例が挙げられます。

・音声アシスタント
・チャットbot
・画像認識
・レコメンデーション
など

 音声アシスタントは音声入力に対して、チャットbotは文字入力に対して、コンピューターが自動で解析、判断し処理を行います。主に企業のヘルプデスクやカスタマーセンターで利用されています。

 画像認識は画像を入力情報とし、画像の分類や顔認証などで活用される技術です。医療分野においては、人間の目で確認できなかった病気を発見したり、防犯分野では不審人物の特定に役立ったりと、特定の産業に限られることなく、幅広い分野で活用されています。

 レコメンデーションはユーザー趣向を分析し、お薦めの商品やサービスを提示する機能です。オンラインショッピングでの売上増加を目的に、ユーザーへお薦め情報を提示する場面などで活用されています。

エッジAIの基本

 クラウドAIと対になる存在が、エッジAIです。エッジAIの特徴や利用されるシーンについて見ていきましょう。

<エッジAIとは>
 クラウドAIでは、AIの学習や予測・判断をすべてクラウド上で完結させていましたが、エッジAIでは予測・判断をエッジコンピューティング上で行います。エッジコンピューティングは、IoTデバイスなどが該当します。

 例えば、スマートフォンからデータをクラウドに送る際は、スマートフォンがエッジコンピューティングの役割を果たします。その際は、データの処理は基本的にエッジコンピューティング上で行い、クラウドに送る必要がありません。そのため、セキュリティリスクや通信量の低減が可能です。

 エッジAIは、これ以外にリアルタイム性というメリットもあります。

 分かりやすい例として、自動車の自動運転が挙げられます。自動車の自動運転では、刻一刻と変化する道路情報を読み取り、瞬時に判断しなければなりません。数ミリ秒の判断遅延が取り返しのつかない事故につながりかねないからです。このような場面では、クラウドAIよりもリアルタイム性の高いエッジAIのほうが向いています。

 なお、クラウドAIとエッジAIを語る上で「5G」の技術も重要になってきています。

 2020年春以降、次世代ネットワーク技術5Gのサービスが国内で開始します。5Gの特徴の1つに、1ミリ秒程度の「超低遅延」があります。これが現在のクラウドAIとエッジAIの関係性を変えるかもしれないといわれています。

 現在は、クラウドAIでは遅延が発生する可能性があって使いにくい場面でも、超低遅延の5Gネットワークを利用すれば解消されるかもしれないからです。

<エッジAIが必要とされる利用シーン>
 エッジAIが求められる利用シーンとしては、次の例が挙げられます。

・自動車の自動運転
・自律ドローン
・工場の機械やロボットの予兆保全
など

 自動車の自動運転は先ほども述べた通り、リアルタイム性が非常に求められるシーンの1つです。道路状況、前方の自動車の情報、信号機の情報、歩行者の情報など、多くの画像を認識し、即座に判断する必要があるため、エッジAIが求められます。

 自律ドローンも自動運転と同様に、周囲の状況を画像として認識し、即座に判断しなければならず、エッジAIが重要な役割を担います。

 工場の機械やロボットの故障は、時に死亡事故となる可能性があるほど危険なものです。経年劣化等による異常が発生する前に、AIによって兆候を検知してアラートを出すことが求められます。また、AIによって人物を検知し、事故が発生しうる状況を判断し、機械を停止させることも考えられます。これら一連の作業にはリアルタイム性が重要となるため、エッジAIを用いるケースが多く見られます。

クラウドAIもエッジAIも特徴に合わせて活用しよう!

 クラウドAIやエッジAIの違いは、AIが動作する環境によります。それぞれに特徴があり、目的・用途によってどちらのAIを動作させるべきかを判断しなければなりません。クラウドAIとエッジAIは、どちらも私たちの生活を便利にし、業務を効率的に行うために用いられます。特に企業では、働き方改革に伴う業務効率化が求められており、ますます必要性が高まるでしょう。

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※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=太田 勇輔

ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。

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