ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
シンプルでスピーディーなコミュニケーションが取れる「チャット」。プライベートだけでなく、ビジネスでも利用できれば業務のコミュニケーションも活性化できる。一方で、個人アカウントで使われているプライベートチャットは、ビジネス利用を前提にしていない。利用する従業員としても、個人アカウントを使って業務連絡を行うのに抵抗を感じる人もいる。プライベートチャットに早朝や深夜の業務連絡が飛び込んできたら、それこそプライベートの妨害になりかねない。
そうした課題を解決して、ビジネスのコミュニケーションを円滑化できるソリューションがビジネスチャットだ。ビジネスチャットの代表例としてNTT西日本が提供する「elgana(エルガナ)」の活用シーンを見ていこう。
elganaは、2020年4月に提供が始まったサービス。NTTグループ内での公式ビジネスチャットとしての利用実績がある。2021年3月22日には、サービス開始から1年をたたずに62万IDを突破した。
elganaは管理者が登録した従業員だけが利用できるクローズドなコミュニケーション環境を提供する。月額無料で使えるフリープランと、IDごとに月額330円(税込み)のベースプランを持つ。無料でも使えるコスト面での訴求も、利用を後押ししている。
すでに多くの企業や団体で利用が進んでいるelganaについて、先進ユーザーの事例からシーン別のメリットが浮かび上がってくる。
例えばある不動産業の企業では、シャドーITによるセキュリティリスクを回避するためにelganaを導入した。導入前はプライベートチャットを業務に使うケースが増えてしまい、会社として情報統制ができないという課題があった。登録した従業員だけが利用でき、コミュニケーションのログを抽出できるといった高度な管理機能を備えたelganaは、まさに課題解決にフィットするサービスだった。シャドーITの排除とコミュニケーションの円滑化という、相反する課題を一挙に解決できたのである。
学校PTAの保護者とのコミュニケーションに活用している例もある。ある高校のPTAでは、LINEを使って保護者と情報共有をしていたが、個人のLINEアカウントを登録したくない保護者が一定数いて、個別の電話連絡を余儀なくされていた。elganaの導入によって、プライベートと切り離されたアカウントによる連絡が可能になり、学校と保護者のコミュニケーションがスムーズにできるようになったという。
また、複数の会員企業とのコミュニケーションが求められる業界団体などでも、業界団体専用のelganaのチャットを使うことで、連絡の円滑化が進んだ事例が出ている。
elganaの活用シーン
管理面でのメリットを享受している活用例もある。多店舗展開している小売業の企業では、コミュニケーションツールの管理が負担になっていた。従業員の出入りが多く、異動や退職、入社のたびに数少ない情報システム担当者が管理の手間をかけていた。ビジネスチャットとしてelganaを導入したこの小売業は、管理者の権限を複数の担当者に設定できるelganaの機能を使って、管理作業を拠点の担当者に分散。スムーズな管理運用を実現した。
elganaでは管理者ユーザーを複数設定できる
管理者権限は4タイプある。例えば「オペレーター」はユーザー管理、端末管理などの権限を持つ
管理者が利用者を登録・削除できるelganaは、招待制のプライベートチャットや一部のビジネスチャットよりも運用面での安心感がある。前述の小売業のように入社や退職などの情報に合わせて管理者が従業員を登録・削除すれば、退職者がチャットのグループに残って情報を入手可能なままになるケースを防げる。ログ取得を従業員に周知すれば、情報漏えいなどの人的なセキュリティリスクの抑止にもつながる。
一方、従業員の視点でも、elganaの機能がメリットを生み出す。プライベートのスマホを使っていても、会社用のコミュニケーションはelgana、プライベートのコミュニケーションはLINEというように分離できる。elganaなら、当日の退勤後は翌朝7時まで通知がこない設定を選べるので、業務とプライベートの区別をつけやすい。
翌朝7時まで通知がこない設定も簡単
このように導入が広がる中で、elganaによるビジネスチャットが社内のコミュニケーションを着実に変化させている例も出てきた。現場での業務が大半を占める建設会社では、メールや電話のコミュニケーションに限界を感じていた。そこでビジネスチャットとしてelganaを導入したところ、メッセージの開封率が100%を達成、コミュニケーションのレスポンスが大幅に改善して業務効率化が進んだという。
社内のコミュニケーションも活性化が進む。チャット上で接触する回数が増えるにつれ、直接顔を合わせない従業員同士でも親近感が高まり、社員同士の距離が近くなったと評価する。災害時の復旧現場への人員配置といった特殊な状況でも、コミュニケーションがスムーズに進み人員配置の手配がスピーディーに行えた実績もできた。
こうした事例のほかにも、elganaの利便性がコミュニケーションを活性化させるケースもある。elganaでは管理者が従業員を所属部署とともに登録するため、社内のデジタル連絡帳のようにも使える。「□□部署の○○さん」に連絡したいと思ったときに、すぐに探し出してチャットによるコミュニケーションが始められるのだ。こうした側面も、elganaのビジネスチャットがもたらすメリットと考えられる。
高いセキュリティ機能と柔軟で高度な運用管理機能、そして無料からでも使えるコスト感。これらを兼ね備えたelganaは、チャットをビジネスに活用したい企業や団体にとって有力な選択肢になるだろう。サポートが必要なら月額330円(税込み)のベースプランにしておくとよい。
ビジネスチャット活用においては、安全と利便性というトレードオフになる要求に対して、高い次元でクリアできるサービスを使わなくてはならない。ビジネスチャットはよりよいコミュニケーション環境づくりに有効だ。安心できるサービスを選んだら、まずは使い始めてみるのをお勧めする。
※「LINE」は、LINE株式会社の商標または登録商標です
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
※2023年11月より「elgana」の販売会社がNTTビジネスソリューションズ(株)から西日本電信電話株式会社に変更されましたため、記事および注釈を修正しました
執筆=岩元 直久
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