ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
私たちは、感じて動く「感動」の動物。感情に振り回されて生きています。自分に湧き起こる感情だけでなく、他人の感情にも振り回されています。
第1回、第2回で、感情のパターンの違いについてお伝えしました。パターンに気付けば、自分の感情とうまく付き合えるようになります。また、人の感情のパターンが分かれば、人に影響を受けない選択ができるようになります。
第9回と第10回で特に取り上げたいのは、「怒りの感情」と「失敗したときの感情」。仕事をしていると、特にこの2つの感情に翻弄されることが多いのです。
まずは「怒り」という感情についてお話しします。怒りはとても大きなエネルギーですから、ぶつけられたほうもぶつけるほうも疲弊してしまいます(怒りの感情は、普段の4倍のエネルギーを使うのだそうです!)。ただ、怒りも大事な感情の1つ。怒りが世の中を変えることもありますから、悪者にせず上手に付き合ってほしいと思います。
例えば、ある日、家族で外出から帰ったときのことです。リビングに干してある洗濯物を見た夫が「干し方が気に入らない」と文句を言い始めました。洗濯物は朝から同じ状態だったのに、朝見たときは何も言わなかったのです。そう、朝は“怒らない”選択をしていた夫。帰宅後は同じ状況を見て“怒る”選択をしたのです。
洗濯物の干し方が彼を怒らせたのではなく、また、それを干した私が彼を怒らせたのでもありません。誰が怒らせたのでしょうか。
実は、怒りの原因は相手でも環境でもありません。怒りは自分で決めているのです。ぜひ覚えておいてください。つまり、同じ状況でも、怒る場合と怒らずにいられる場合がある。また、怒ってしまう人もいれば、怒らずにいられる人もいます。
相手が怒っているのは、あなたが相手を怒らせているのではなく、相手があなたの言動や行動に“勝手に”反応して怒っているのです。単純に機嫌が悪くて八つ当たりをしているときだってあります。
怒っているのは相手の問題。この「区別」ができるようになると、周りからのネガティブな影響を受けにくくなります。
ここで、私たちも相手の言動にどう反応するかを選べることも知っておいてくださいね。「気になるなら自分で干せばいいじゃない!」と声を荒らげて怒りをぶつけ返すこともできますが、私はその日、心に余裕があったので、こんなふうに返しました。
「そうか、この洗濯物の干し方が気になるんだね(“見留める”)。朝はバタバタしていて慌てていたので、次回は洗濯物を干すのを手伝ってもらえたら助かるんだけど……(伝える)」
相手の怒りとの区別をすれば、自分の反応を変えることさえもできるようになります。
自分が怒りの感情に支配されそうになったとき、怒りを忘れようとするのは難しいもの。でも、感情の仕組みを知っていれば、無駄な怒りを減らすことができ、気持ちを切り替えることができます。これができるだけで、随分と気持ちも変わるのです。
では、その仕組みについて説明しましょう。心理学の世界では、怒りは「二次感情」と呼ばれています。つまり、突然出てくる感情ではなく、その裏には、必ず本当の気持ち、「一次感情」が隠されているのです。
怒りの裏にある一次感情とは、期待・心配・悲しみです(細かく挙げたら他にもありますが)。「このくらいはできるだろう」という期待、「ああ、また一からやり直さなくてはいけないんだ」という悲しみ。はたまた、約束の時間に来なくて「何かあったんじゃないか」という心配など。
怒りの裏側にはそういった感情が隠れています。ですから、怒りの感情を抑えるのではなく、その裏から湧き上がった感情を丁寧に扱ってみてください。
誰かに対して腹が立ったり、イライラしてしまったりしたときは「ああ、自分はチームメンバーに期待しているんだな」「必要とされていないと感じて悲しいんだな」と、その手前にある気持ちに気付いてください。そして、その感情を“見留める”。それができるようになると、相手に怒りをぶつける代わりに、本当の気持ちを上手に伝えられます。
高校生の時、私は母の態度でそのことに気が付きました。
高校2年生の時です。私は、違う高校の友だちと交換日記をしていました。
ある日、21時過ぎにその友だちと会って日記を交換する約束をしていました。私の家族はいつも早く寝てしまうので、外出するときには電気も消えて家はひっそりとしていました。
私はこっそりと家を抜け出し、友だちと会い、家に戻りました。その間、たった15~20分程度。しかし、家に着いてみると、出るときは消えていたはずの玄関の明かりがこうこうとついています。
「まずい!お母さんが起きたんだ!こんな時間に外に出たことをきっと怒られる!」
私は怒られることを覚悟して、ソーッと玄関の戸を開けました。見つかれば「洋実!こんな時間に何やってんの!」という怒りの声が飛んでくるに違いありません。
ところが、母の第一声は違っていました。
「よかった!帰ってきて」と怒りをぶつけるのではなく気持ちを伝えてくれました。母が私のことを心配する気持ちが伝わったことで、私は心から母に悪かったと反省し、素直に「ごめんなさい」と、謝ることができました。
思春期です。もし、あのとき、母に怒りをぶつけられていたら、きっと「うるさいよ!これくらいみんなやってるよ!」と言い返してしまったでしょう。
怒りは受け取りにくく反発を生みますが、本当の気持ちを伝えられれば、相手を大切にしている思いが伝わるのです(これも存在承認)。安心感が人を動かすのですね。
執筆=山﨑 洋実
コミュニケーションコーチ。1971年静岡県生まれ。大手英会話学校勤務時代に、接客&人材育成の楽しさを知る。2000年にコーチングに出合い体系的に学ぶうちに、これまでやっていたことがコーチングだったと知る。出産後、身近なママ友向けに始めた講座「ママのイキイキ応援プログラム」は常に笑いあり、涙ありで心に響き、かつ本質を伝える講座として瞬く間に全国区へ。講座内容が仕事にも役立つことから企業研修、講演会を全国で開催。
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