ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
自分で考えて動く自創社員を育てるには、良い習慣づくりが必要です。そのきっかけづくりとしてナンバーワン運動を展開してはどうかという提案をしました。加えて、社外からは年代によって期待される能力があること、人材育成の基本姿勢として3・3戦略という視点を持つことの大切さ、そして雑談で社員の自主性を引き出す重要性を説明してきました。
では、全社員を一流に育てるには、どのようなプロセスを踏めばいいでしょうか。
まずは社長や優秀な上司が仕事ぶりを社員に見せてあげることです。一流社員の仕事を見てまねさせることから始めるべきです。このプロセスは何かに似ていると思いませんか。そうです。赤ん坊の成長過程と同じなのです。赤ん坊は親のまねをして言葉を覚えたり、立ち上がったりできるようになります。大人になっても、この基本原則は変わらないのです。
これをもう少し掘り下げて説明します。私は、人間の成長には5つのステップがあると考えています。成長を着実に促すためには教育が欠かせません。正しく教「育」してこそ、人は“人材”へと「成」長するのです。このつながりがあるから「育成」という言葉があると私は捉えています。社長や上司は、部下を一流に育成するために5つのステップを覚えてください。
まず、物事を見たり聞いたりして知らない状態から「知る」ようになる。
第2に、知ったことを書いたり考えたりして「理解する」ようになる。この理解している状態へ成長を促すために「ティーチング(教示)」が重要になります。
第3に、理解したことを実践して「だいたい1人でできる」ようになる。このできる状態へと育成するために「トレーニング(訓練)」が大切になります。
第4に、だいたい1人でできることが「より良くできる」ようになる。そのために社長や上司は部下に自主トレを促しつつ、徐々に「カウンセリング(不安や悩みの軽減)」や「コーチング(本人の意見の抽出)」によって成長を促します。
そして、最終段階は「自分ができることを人に教えて育てることができる」ようになる。そのために教え方や育て方を「ラーニング(学習)」で身に付けさせます。この5段階で人材を育成していくことが大切です。
成長の5つのステップを社員に踏んでもらうために社長や上司が心掛ける基本的な流れは、次の4つです。
第1に成長期待を持ち、第2に現状の成長度合いを確認する。第3に当面の成長課題を明らかにし、最後に課題の解決方法を考えさせる。端的にいえば、対話を通じてこの4つをルーティンにすることが大切です。
もちろん、言うは易(やす)く行うは難(かた)し。特に成長の5段階で難しいのは第2から第3ステップに進む過程。「知っているとできるは大違い」とよくいわれるほど、できるまで実行させ続けるハードルは高いと思います。
でも、大切なのはうまくいかなくても諦めないこと。本人はもちろんのこと、社長自身が人材を育成することを諦めてはいけないのです。最後まで社員を信じて繰り返し教育し、挑戦させる。成長すると信じ続ける。できなければ、原因を一緒になって考えて改善策を練る。人材育成は、そんな地味な作業の連続です。ただ、それを厭(いと)わず取り組み続けることができるかどうか。その社長の粘り強さに成否がかかっているといっても過言ではありません。
執筆=著者=東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)
1969年大阪府生まれ。大阪産業大学を中退し、電気設備工事会社に勤務した後、リクルートの代理店に入社し、営業職で1年目に社長賞を受賞。その後、化粧品会社やインテリア商社に勤務。2004年、自分で考えて動く社員を育てる「自創経営」の創設者で、父の東川鷹年氏による指導の下、自創経営センターを設立、所長に就任した。これまで中小企業を中心に9000人以上の社員を成長させてきた。
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お金をかけずに“ざんねん社員”を育てるルーティン