社長のための戦略的IT経営物語(第5回) 通信回線トラブル!24時間365日保守で迅速復旧

データ通信 サポートサービストラブル対応

公開日:2019.04.03

――ビジネスの生命線というべき通信回線。トラブルはないのが理想だが、万一に備えなくてはならない。トラブルが起こった際の解決・復旧には通信事業者の保守サービスがカギになる。製造業のビズ工業は、複数の協力会社から部品を仕入れて組み上げた後、最終製品を作る大手メーカー、クリップ社に納入している。サプライチェーンの一翼を担うビズ工業がトラブルに直面した。

終業時間間際に、インターネットにトラブル発生

――とある稼働日の夕方、総務部のオフィス。

旭さん(総務部):あれ、さっきまで使えていたインターネットが、つながらなくなってしまいました。先輩、私のパソコンの故障でしょうか?

阿倍野さん(総務部):どれどれ、パソコンを見せてごらん。うーむ、本当だ。インターネットへの接続ができなくなっている。私のデスクのパソコンも、インターネットにつながらないぞ。

旭さん(総務部):私がパソコンを壊してしまったわけではないんですよね。

阿倍野さん(総務部):私のパソコンもつながらないから、そうではなさそうだ。となると社内ネットワークの問題かもしれない。ネットワークに接続しているプリンターで確かめてくれないか。

終業時間間際、通信回線にトラブル発生。保守窓口に連絡したが……

旭さん(総務部):プリンターからは正常に出力できますよ。こうなると、インターネットに接続する回線の問題かもしれませんね。ウチにはネットワークの担当者がいないから、原因を見つけて復旧させるのは難しそうです。通信事業者に連絡してみましょう。

――通信事業者の窓口に電話をするが、浮かない顔で電話を切った旭さん。

旭さん(総務部):電話をしてみたのですが、今日の保守対応の受付時間が過ぎているんですって。対応は明日になるとのことです。

阿倍野さん(総務部):そうか。受付時間を過ぎているのでは仕方がないか。幸い、もう終業時間も近い。社内から問い合わせがあったら、「トラブルでインターネット接続ができなくなっています。復旧は明日の予定です」と答えよう。

旭さん(総務部):分かりました。終業時間間近ですから、それほど業務への影響もないかもしれませんね。

甘かった見込み。対外的な重大トラブルが発生

――翌日、通信事業者によってインターネット不通のトラブルは解決、ほっとした空気が流れる総務部のオフィス。その一方で営業部のオフィスがおかしな雰囲気に。

旭さん(総務部):インターネットは無事、復旧しました。良かったですね。

阿倍野さん(総務部):安心するのはまだ早そうだ。営業部で何やら騒ぎになっているらしい。ちょっと見てこよう。

――阿倍野さんと旭さんが、営業部に出向きクリップ社担当の生野さんに事情を聞く。

阿倍野さん(総務部):大騒ぎになっているようだが、どうしたんですか。

生野さん(営業部):ちょっと大変なんですよ。クリップ社への次の納品が間に合いそうもないって生産部門から連絡が来たんです。それを営業部から連絡したところ、クリップ社が怒り心頭で……。

阿倍野さん(総務部):昨日まで、納品が遅れそうなんて情報なかったけど。

生野さん(営業部):今日、納品される予定だった部品が協力会社から届かなかったんです。それがないと組み立て作業が進められないので、慌てて問い合わせたところ、昨日の夕方に納品の遅れについてメールで連絡をしたと言うんです。昨日から今日にかけて、インターネットが切れていたんですよね? どうもその間の連絡だったようなんです……。

旭さん(総務部):インターネットの不通が原因?必要な部品がないので組み立てが遅れて、クリップ社への納品も遅れてしまうということか。

生野さん(営業部):ウチの納品が遅れると、クリップ社の生産スケジュールにも影響が出てしまいそうで。部長からもクリップ社に連絡してもらって、平謝りしているところです。かなりネチネチと絞られているようです。

通信回線の普及の遅れが、大きな問題につながることも!

阿倍野さん(総務部):始末書などの提出で済めばいいが。納品遅れの影響について損害賠償を求められたりしたら大変なことになるな。

生野さん(営業部):損害賠償までは発展しないで済みそうですが、クリップ社から協力会社との連絡の不手際による納品遅れが起きないように、しっかりとした対策を示せと言われてしまいました。「昨日、納品遅れを連絡してくれれば、生産スケジュールを調整できたのに」とも。確かに昨日、協力会社からの部品納品の遅れが分かっていれば、ウチの作業スケジュールの調整で、納品遅れをカバーできたかもしれません。阿倍野さん、インターネットでのやり取りは、サプライチェーンの維持に重要なのを実感しましたよ。

阿倍野さん(総務部):確かに生野さんの言う通りだ。かといって、ウチに専任担任者を置いてネットワークトラブル対応を強化する余裕はない。でも、トラブルへの対処を強化する手段がないか、至急検討してクリップ社に示さないと。もし、クリップ社から見放されたら、大変だ。

旭さん(総務部):通信事業者による通常の保守サービスは、受付時間外があるケースが多いようです。サプライチェーンを考えると、時間や曜日にかかわらず、保守サービスを受けられるような対策を検討しないといけませんね。

24時間365日の保守サービスを契約

――トラブルの数日後、総務部のオフィス。

旭さん(総務部):阿倍野さん、新しい保守サービスの契約、手続きが完了しました。

阿倍野さん(総務部):ありがとう。契約したのは、24時間365日、保守対応してくれるサービスだったね。

旭さん(総務部):そうです。これで、先週のような回線トラブルがあっても、「受付時間外」で翌日以降の対応になってしまうことはありません。

阿倍野さん(総務部):早朝や深夜でも、専用の電話番号に電話するとオペレーターがきちんと受付してくれるというから安心だな。オペレーターは遠隔からウチの通信機器を診断して、故障箇所を特定し、必要に応じて24時間態勢で担当者が駆け付け対応してくれるから、クリップ社にも安心してもらえるだろう。

旭さん(総務部):このサービスの詳細を生野さんに知らせて、クリップ社に示す対策書にも入れてもらいますね。

――そして数カ月後、総務部のオフィス。

旭さん:あれ、さっきまで使えていたインターネットが、うまく動かなくなってしまいました。阿倍野さんのパソコンは?

阿倍野さん(総務部):どれどれ、うーむ、私のパソコンもインターネットへの接続ができなくなっている。数カ月前を思い出すな。しかし、今は、24時間365日対応の保守サービスと契約済みだから、前回のようなトラブルは防げるだろう。旭さん、専用ダイヤルに電話をしてくれ。

旭さん(総務部):了解です! すぐに電話します。

――専用ダイヤルのオペレーターと通話をした旭さん、晴れ晴れとした表情で電話を切る。

旭さん(総務部):遠隔で故障箇所の診断ができたそうです。すぐに対応してくれるそうです。

阿倍野さん(総務部):良かった、良かった。念のため、営業部の生野さんにすぐに復旧すると知らせておこう。前のトラブルでは、自分のせいではないのにかなりへこんでいたようだから。やはりトラブルの解決は事前の対策が大切だということだな。

旭さん(総務部):確かに。事前に対策をしておけば安心です。阿倍野さんも、酔っぱらって音信不通になるトラブルに、きちんとした対策をしておいてくださいね(笑)

執筆=岩元 直久

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