Wi-Fiのビジネス活用術(第4回) 店舗に無料Wi-Fiサービスを賢く整備する

Wi-Fi デジタル化

公開日:2016.06.22

 今、多くの観光地に無料のWi-Fi利用環境を提供する「地域Wi-Fi」が広がっている。訪日外国人は日本国内でインターネットへのアクセス手段を持っていないケースが多い。彼らにWi-Fi環境を提供することで、地域を訪れる“誘い水”にしたいというもくろみがある。しかし、Wi-Fi環境を必要としているのは、当然ながら訪日外国人だけではない。

売り上げ増に貢献できる無料Wi-Fiサービス

 駅のWi-Fiスポットでノートパソコンを開いているビジネスパーソン。カフェでタブレットを片手に読書する主婦。通学途中にスマートフォンでチャットする学生。今や日常のあらゆるシーンでWi-Fiが当たり前のように使われている。中小規模の店舗にとっては、顧客向けにWi-Fi利用環境を提供すると、ビジネス上のメリットを引き出せる。

 カフェなどの飲食店では、Wi-Fi経由で顧客のスマートフォンに割引クーポンを配信したり、お薦めメニューを紹介したりできる。また、店舗専用のIDが付与されるサービスの場合には、店舗の業務にWi-Fiが使える。オーダーを取ったり、売り上げデータを送信したりできる。

 美容院やサロンなどの待ち時間が発生するような業態でも、Wi-Fiがあれば大いに喜ばれるだろう。備え付けの雑誌や書籍を用意している店舗が多いが、必ずしも顧客が読みたいものがその中にあるとは限らない。自由に情報を取得できるインターネットであれば、待ち時間に自分の好きなコンテンツを閲覧できる。美容院では自分が求める髪形をインターネットで見つけて、美容師に見せるといった使い方もある。

 ホテルの場合でもWi-Fi利用環境は欠かせない。宿泊客が部屋でインターネットを利用するのはもちろん、待ち合わせや打ち合わせ、食事の際にもWi-Fiが利用できれば便利である。ホテル側としても、施設やイベントの紹介、割引クーポンの発行など、プロモーションにつなげられる。

 ただし、サービスとしてWi-Fiを提供する場合には、セキュリティーが確保された上で、顧客が無料でストレスなく利用できるなど、しっかりとしたWi-Fi基盤が求められていることを忘れてはならない。

顧客向けサービスとして押さえるべきポイント

 個人ユーザーとして家庭でWi-Fiを利用している人も多いと思われるが、顧客にサービスとしてWi-Fi利用環境を提供する場合では、何が変わってくるのだろうか。

 まず認証の問題がある。Wi-Fiにアクセスするには、パスワードなどの認証が必要になる。個人で使っているルーターには1つのパスワードしかない。それを顧客に伝えてしまえば、いつでも利用できてしまうし、ヘビーユーザーにネットワークを占拠されかねない。顧客ごとのセキュリティーも確立できない。

 一方で、利用者数やデータ量の制限という問題もある。通常家庭用のルーター1台当たりの接続機器数は10台以下。台数が多ければ接続できない場合も出てくる。多くの台数が接続されると、データを送るスピードが落ちてしまうこともある。

 また、冒頭で紹介した来日外国人向けのサービスとして考えると、外国語対応の問題も出てくる。英語や中国語、韓国語などで利用方法を説明する必要がある。

 一方、通信事業者が提供している店舗向けのWi-Fiサービスは、複数の顧客に同時にサービスを提供することが前提に設計されていて、多言語対応などの課題もクリアされている。

 こうした中小規模の店舗でもすぐに利用できるワンストップタイプの店舗向けWi-Fiサービスとしては、NTT西日本グループのNTTメディアサプライが提供している「DoSPOT」やKDDIグループのワイヤ・アンド・ワイヤレスが提供する「Wi2 Free キット」などがある。

 いずれも店舗を訪問した顧客に対して、無料でインターネットに接続できるWi-Fi利用環境を提供。標準で多言語に対応し、店のホームページなども用意できる。店舗内でWi-Fiをつなぐと自動的に“店舗のお得情報”が表示されるなど、売り上げ増に結び付けることも期待できる。

 大手の飲食チェーン店などで提供されているWi-Fiサービスは、基本的にこれらの通信事業者のサービスをカスタマイズして利用しているものが多い。法人向けにWi-Fi環境を構築するためのサービスも、システムインテグレーターなどから提供されている。自前でネットワークを構築する技術力があれば、こうしたサービスを利用して、他社と一線を画した独自のWi-Fiサービスを提供することもできるだろう。

多彩なメリットがある店舗向けWi-Fiサービス

 中小規模の店舗でも手軽に利用できる通信事業者が提供するWi-Fiサービスとはどんな内容のものなのだろうか。ここではNTTメディアサプライが提供しているDoSPOTを例に詳細を見ていく。

 DoSPOTはNTT西日本のFTTHアクセスサービスである「フレッツ光」を利用したサービスで、そのユーザーであればDoSPOTを契約し、無線アクセスポイントを設置すれば利用できる。

 料金としては、フレッツ光の月額利用料に加えて、プロバイダー利用料と無線アクセスポイントの費用がかかる。NTTメディアサプライのプロバイダーサービスと無線アクセスポイント1台で月額料金は1300円(税別)。無線アクセスポイントの増設も3台まで追加可能で1台/月が500円(税別)だ。

 店舗を訪れた顧客は、まずモバイル端末のWi-Fi設定機能で「DoSPOT-FREE」というSSIDを選択。するとブラウザーが起動するので、ここで言語を選択して利用規約の「同意する」ボタンを押す。次の画面でメールアドレスを入力して「接続」ボタンを押せば認証されて、インターネットに接続できるようになる。デバイスごとに1回当たり最大15分を1日4回まで、最大60分利用できる。

 この接続の際に、店舗のホームページが表示されるように設定しておく。そうすれば、顧客に直接情報を提供できるのも大きなメリットだ。NTTメディアサプライのプロバイダーサービスを利用するプランなら、メールアドレスが無料で付いてくるので、店舗や施設用の顧客とのやり取り専用メールとして利用できる。また、DoSPOTには簡易なWebサイトが提供されている。店舗側でホームページがない場合でも、店舗情報ページを作成してくれるので、すぐに情報提供が可能だ。

 またDoSPOTを導入すると、店舗情報がDoSPOTエリア検索サイトに登録される。加えてNTT西日本のフレッツ・スポットの提供エリアとして、公式Webサイトに掲載されるという特典も付く。顧客がWebサイトで検索して、Wi-Fi利用を目的に来店する可能性の幅が広がるわけだ。

自治体の補助制度で費用を抑えられることも

 民間企業の無料Wi-Fiサービスの導入については、観光客を呼び込みたい自治体の協力を得られることも多い。

 例えば、大阪観光局では、空港や駅など公共交通機関や大規模施設・商業施設などをメーンにした「Osaka Free Wi-Fi」と、観光地やホテル、店舗などがコスト的に導入しやすいDoSPOTを活用した「Osaka Free Wi-Fi Lite」の2本立てで全国トップレベルの大規模な地域Wi-Fiサービスを展開している。

 大阪観光局は、Osaka Free Wi-Fi Liteの拡充に役立てるため、店舗などの集客用の付加サービス「Osaka Enjoy Rally」というポータルサイトを開設。店舗の特典情報やクーポン券などを掲載している(詳しくはここをクリック)。

 このほかにも宮城県や富山県、佐賀県、大分県など、宿泊施設や観光集客施設などが無料Wi-Fiを導入する際に、全額を負担したり、補助金を出したりしている自治体も多い。こうした制度を利用し、投資費用を抑えながら無料Wi-Fiサービスを整備できる場合もある。導入を検討する際には、ぜひ調べておくことをお勧めする。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=高橋 秀典

【M】

あわせて読みたい記事

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)

    ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.02.07

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第43回)

    ビジネスWi-Fiを活用し、自治体DXを推進しよう

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.01.30

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第42回)

    建設・土木の働き方を変えるビジネスWi-Fi

    Wi-Fi スキルアップ

    2025.01.09

連載バックナンバー