ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
絶え間ない問い合わせ対応に終始し、本来やるべき業務を圧迫している例は多い。外国人向けにも対応すべきケースも増え、こうしたコミュニケーションを多言語で行わなければならず、負荷は増すばかりだ。この解決手段として成果を上げているのがチャットボットだ。
チャットボットとは、チャットを通じて人間とメッセージをやり取りするプログラムのことだ。ある宅配便事業者では、荷物の問い合わせ番号を入力すると、配送状況を通知するチャットボットを提供している。ほかにも神奈川県横浜市では、廃棄したい物の名前を入力すると、分別の案内をしてくれるチャットボットを運用している。
チャットボットなら問い合わせ対応に人手をかけなくて済む。チャットボットにあらかじめFAQの回答例を組み込んでおけば、プログラムが自動的に応答してくれる。問い合わせる側も、自分の好きなタイミングで質問を投げれば、ほぼリアルタイムで回答をもらえるメリットがある。
チャットボットにはいくつかの種類がある。1つは、ルールベースで動くチャットボットだ。人工無脳型と呼ばれる。キーワードごとに定義したFAQのルールに基づき、自動的に回答する。チャットボットの対応力を上げるには、FAQシナリオのロジックをしっかり組まなければならない。FAQがきちんと準備されていれば、導入負荷は軽減できる。自力でFAQを整備できない場合は、コンタクトセンター運用に実績のあるベンダーなどのサポートが欠かせない。
もう1つは、AI(人工知能)型の製品だ。AIが問い合わせ内容を学習して、最適な対応をつくり上げる。例えば宿泊施設の場合、価格についての問い合わせ1つ取っても「宿泊代」「料金」など言い回しが複数ある。AIなら言葉を学習できるので、こうした表記の揺れにも対応可能だ。学習期間はかかるが、使いこなすほど精度が上がる。ルールベースとAI型を組み合わせたAIチャットボットも存在する。
では、どんなチャットボットを選ぶべきか。まずポイントとなるのは、対応SNSの種類だ。外国人旅行客を相手にするならば、全世界で十数億ユーザーを持つFacebook、そして中国で代表的SNSであるWeChatへの対応が欠かせない。対して日本市場で一般的に使われているのはLINEとなる。SNS対応をするのであれば、Facebook、WeChat、LINEの3つへの対応が重要となる。観光業の場合、サポートする言語数もポイントになる。英語対応はもちろんだが、リピートが多い中国、韓国の旅行客への対応も必要だ。
チャットには要望や不満など、旅行客の生の声が入っている。チャット内容の分析ができれば、サービス向上のヒントにもなる。この宝の山を活用すれば、効果的に顧客満足度向上の施策を打てる。分析サービスを提供できるかどうかも、ベンダー選択の重要な要素となる。
こうした状況を受け、国産のチャットボット開発も活発化している。NTTアドバンステクノロジでは、SNSやCRMと連携する「Remote Attend」を提供しているし、NTTドコモとインターメディアプランニングが共同で開発した「Repl-AI」は、簡単に対応シナリオからチャットシステムまで作成できる。
また、コンタクトセンターの構築・運用で実績のあるNTTマーケティングアクトで扱っているAIチャットボット「talkappi」(開発はアクティバリューズ)は、AIで日本語の揺らぎに対応する。NTTマーケティングアクトは、長年コンタクトセンターソリューションに携わっており、FAQシナリオの開発実績がある。
前述の3つのSNSにすべて対応しており、日本語・英語・中国語繁体字・中国語簡体字・韓国語と5カ国語をサポートするのもポイントだ。また、顧客の発話内容に応じてクーポンを配布するなど、再訪を促す効果的なマーケティング施策を打つことができる。
AIチャットボットは企業や自治体でも大きな効果が期待できる。マニュアルのFAQをAIチャットボットに覚え込ませれば、定型業務への問い合わせが多い、経理や総務部門の負荷を減らせる。問い合わせる側も、マニュアルを探したり内線電話を何度もかけたりする手間がなくなる。その分、本来の業務に注力できるわけだ。多言語対応のAIチャットボットなら、グローバル展開している外資系企業の課題解決にも役立つはずだ。
チャットボットは人間と異なり、24時間365日稼働し続けられる。受け付けや問い合わせなどの定型業務から人間を解放すれば、人材不足を解消したり、有用な人材をより付加価値の高い業務へ割り当てたりと、さまざまな効果が期待でき、多様な業界でAIチャットボットは使える。今後、顧客満足度向上や業務効率化の切り札となりそうだ。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=岩崎 史絵
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