ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
「このパソコン作業、面倒だなあ」と思いつつ、ミスなくこなすためにパソコン画面とにらめっこしている担当者も多いだろう。近い将来、そんな光景が少なくなるかもしれない。単純作業は機械に任せられるはずという発想から生まれたのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という技術だ。
RPAとは、ロボット技術による工程自動化のこと。名前こそ重々しいが、その実体は「パソコン画面操作の自動化」だ。
現在、企業の情報処理の多くはコンピューターで自動的に行われている。ただ、処理の元になるデータは誰かがパソコン画面から入力しなければならない。報告資料を作成するために、担当者が基幹システムのデータをExcelにコピーして加工するケースも多い。100%の自動化は達成できていない。
この隙間を埋めてくれるのが、RPAツールと呼ばれるソフトウエアロボットだ。RPAツールは、人間があらかじめ作っておいたRPAロボット(プログラム)により、パソコンを自動的に操作する。例えば、申込書のデータを業務システムへ人間の代わりに入力してくれる。その間、担当者はパソコンのそばにいなくてもよい。それまで多大な労力を要していた入力作業が自動化されれば、作業時間が圧倒的に短くなる。さらに、人手による転記ミスがなくなり、業務品質も上がる。
例えば、ある製造業は、為替の最新レートをWebサイトで見て、自社と取引のある国の為替の値をExcelで計算して基幹システムに入力していた。1日3回行っていた一連の作業をRPAで自動化し、作業時間の短縮とミス防止を実現した。
このようにRPA活用が進む背景には、働き方改革がある。効果は2つある。業務効率化と、コア業務への時間の振り分けだ。事務作業の時間を短縮できるので、作業時間が減って余裕が出た部分を、コア業務に振り分けられる。仕事の創造性が高まり、モチベーションアップにもつながる。
現在市場に出回っているRPAツールは、サーバー型とクライアント型に大別できる。サーバー型のRPAツールは、データセンターなどに置かれたサーバーで動作する。サーバーを別途用意する必要はあるものの、RPAロボットの稼働状況を集中管理できる。導入費用は高めの傾向だ。
一方、クライアント型のRPAツールは、Microsoft Officeなどと同様、パソコン上で動作する。業務担当者ごとのニーズに柔軟に応えられる点はサーバー型よりも優れている。ただし、サーバー型のように一元管理をしにくい。統制をどう取るか、ルールづくりが重要になる。
製品によって、自動化できる業務システムの種類も異なる。ほとんどの製品はWindowsアプリケーションとWebアプリケーションの両方に対応している。低価格製品の一部には、対応アプリケーションが少ないものもある。Excelなどのパソコン用アプリケーションも自動化するのなら、両方に対応したRPAツールが必要だ。
RPAツールは現在、国内でも多種多様な製品が入手できる。企業での働き方改革の狙いや業務ニーズに合わせて、多数の候補から選べる状況になっている。製品例を挙げる。
・「WinActor(ウィンアクター)」NTTグループ
・「Automation Anywhere(オートメーション エニウェア)」Automation Anywhere
・「Basic Robo!(ベーシックロボ)」RPA テクノロジーズ
・「Blue Prism(ブループリズム)」Blue Prism
・「Advanced Process Automation(アドバンストプロセスオートメーション)」NICE
・「UiPath(ユーアイパス)」UiPath
例えば、「Automation Anywhere」と「Blue Prism」はサーバー型で大規模な導入に向いている。「UiPath」と「WinActor」はクライアント型で、前述の2製品に比べるとロボット作成のハードルは若干低い。業務の手順と操作の整理が済んでいれば、プログラミングの知識がある担当者がRPAロボットを作るのは容易だ。
そうしたRPAツールの中で国内シェアが高いのが、NTT西日本グループなどが提供するWinActorだ。WinActorの原型になったのは、NTTの研究所が開発した業務効率化ツール。NTTグループでは、2011年から経理、人事、営業などの間接業務にこのツールを使っていた。これをNTTアドバンステクノロジが商品化した。販売に関しては、NTTグループの間接業務について豊富な経験やノウハウを蓄積しているNTTビジネスアソシエ西日本が注力してWinActorを販売提供している。
WinActorは、基本的にはパソコンに組み込んで使うクライアント型RPAツールとなっている。自動化の対象になるのは、WindowsアプリケーションとWebアプリケーションの両方。ExcelとOutlookを含むOffice製品、OCRソフトウエア、内製の業務アプリケーション、Webブラウザー、ERP、各種SaaSなど、企業が使う一般的なソフトウエアはほとんどカバーしている。
クライアント型はこれまで一元管理機能が弱い傾向にあった。WinActorでは、管理面を強化したい顧客向けに管理ツールを提供する予定だという。各パソコンで稼働しているRPAロボットの状況を集中監視できれば、「管理外のロボットはないか」「せっかく作ったのに使われていないロボットはないか」といったチェックも可能になる。
さらに、管理ツールの投入に続いて、2018年度内にはAI型の手書きOCRソフトウエアとの連携も可能になる予定。申込書などの手書き帳票を高精度で自動入力できるようになるという(※)。
RPAツール活用においては、実は導入よりも運用の課題が多い。導入した後に、社内でRPAロボットを作っていかなければならないからだ。業務が分かっていないと業務フローを整理できない。業務フローを整理できないとRPAロボットは作れない。各部門でRPAの担当者を育成するのが大きな課題となっている。RPA導入に当たっては、担当者育成のサポートをしているかどうかも、ITベンダー選択のポイントになる。
2019年から、働き方改革関連法が続々と施行される。残業時間の規制が厳しくなり、有給休暇の取得も義務付けられる。そうした中で、従来と同じ成果を出すには生産性の向上が欠かせない。RPAツールの導入はその有力な手段として、企業規模を問わずぜひ検討したい項目といえる。
※AI型の手書きOCRソフトウエアとの連携は、NTTビジネスアソシエ西日本が独自に提供するサービス
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=山口 学
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