ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
2014年度に、雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談は、合計で2万4893件あり、このうち労働者からの相談が、1万2504件(50.2%)を占めています。そして、このうち、実に1万1289件(45.4%)がセクシュアルハラスメントの相談です。
データによると、働く女性の3割がセクハラを受けた経験があり、そのほとんどが我慢している状態であるとか。セクハラであるかどうかは、これを受けた方の感情によるところが大きく、明確な基準が設定しにくいものです。
米国では、セクハラを受けた女性が、社長と会社を相手取り、総額215億円もの損害賠償請求訴訟を起こした事件がありました。これほどではありませんが、日本でもセクハラに対する訴訟が増え始めています。当然、会社は、セクハラの基準について最低限の知識を得ておく必要があります。
セクハラに関して事業主が講ずべき措置については、男女雇用機会均等法第11条第1項に、図表1のように規定されています。
セクハラには「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」があります。その内容については、図表2の通りです。
これは、典型的な対価型セクハラの例です。労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることを対価型セクハラといいます。
もちろん会社の上司などが、自分の地位を利用して、部下に性的要求をすることも対価型セクハラと受け取られます。対価型セクハラには、図表3のような例が挙げられます。
どの例を見ても、情けないくらい幼稚な感覚の上司であるとしか思えません。会社は、定期的に管理職研修などの研修を行い、日ごろから管理職としての心構えを、しっかり植え付けておく必要があります。
会社で多くの従業員が目にするところにヌードカレンダーを置いたり、水着のポスターを貼ったりすることは環境型セクハラと見なされることになります。もちろんセクハラに該当するかどうかの判断基準には個人差がありますが、1人でもそれを不快に感じるのであれば、すぐに会社として対処しなければなりません。
人の体にむやみに触ることは、当然セクハラとなります。もちろん、会社の対応として、セクハラの行為者ではなく、被害者に対して異動を行うなど言語道断です。このようなトラブルが起こったときは、会社は、十分に両者に聞き取りを行いましょう。その上でセクハラの事実を確認した際には、その行為者に対して、就業規則にのっとった制裁を行わなければなりません。
悪意を持って性的な噂を流すこともセクハラに該当します。もちろんこれも会社の対応が悪い例です。社員がセクハラの被害を訴えてきたら、真摯な態度で向き合いましょう。
また、時々宴会で下ネタなどの性的な冗談を言う人がいますが、これも環境型のうちの発言型セクハラの一種です(図表4参照)。本人は場を和ませているつもりかもしれませんが、これを不快と捉える人がいることも忘れてはなりません。
近年増加傾向にあるのが、女性から男性へのセクハラです。例えば、露出の多い服を着たり、彼女がいないのをバカにしたり、過大な接触をしたり、お気に入りの男子社員をプロジェクトチームに入れたりという行為は、セクハラに該当する可能性があります。
セクハラというと、男性が女性に行うものと考えがちですが、女性が男性に行う性的言動もセクハラに該当することを忘れてはいけません。
セクハラとは、何も異性に対して行わるものとは限りません、同性であっても、風俗店に無理やり連れて行ったり、宴会で裸踊りをさせたりすることもセクハラに該当します。羽目を外したい衝動に駆られてやってしまいそうな行為ですが、相手は不快に感じている可能性があるので慎みましょう。
セクハラの対策として、会社は図表5のような措置を取らなければなりません。これを怠ると、セクハラの行為者のみならず、会社もその責任を問われることとなります。
【T】
ケースで学ぶ職場のトラブル防止法