販路拡大のキモ(第4回) インスタ、決済、通訳。ネットの必要性増すばかり

デジタル化

公開日:2018.10.15

 従来、外国人旅行者が、無料Wi-Fiを利用する目的は情報検索だった。交通手段、宿泊・観光施設、店舗などの情報を、ネットで検索するためにスマホやタブレットをWi-Fiに接続する。無料Wi-Fiが使えることをアピールして来店客を増やし、売り上げ増加につながる効果もあったが、実際には、来てくれた外国人旅行者へのサービス拡充という側面も大きかった。

 しかし、近年は外国人旅行者の行動が変わってきた。経済産業省が公表した「2018年上期の訪日外国人消費指数の動き」によると、費目別では「飲食費」や「娯楽サービス費」の好調が目立つ。インバウンド需要は、従来の「買い物」「宿泊」主体から、飲食や娯楽サービスへと拡大。それだけに、以前より無料Wi-Fiの提供が売り上げ向上につながる可能性が高まっている。スマホ、タブレットでFacebookやTwitterなどのSNSに、情報を「発信」する外国人旅行者が増えたからだ。

 「インスタ映え」。お気に入りの風景や料理などをスマホで撮影し、写真投稿サイト「インスタグラム」に発信する。それを誘引するインスタ映えは2017年の流行語大賞にも選ばれた。外国人旅行者にとってスマホから情報を発信する際は、ネット接続のためのWi-Fi環境があると、もちろん便利だ。

 飲食店で注文した料理の写真をスマホで撮影し、その場でSNSへアップ。その写真を見た人が店舗を訪れ、同じ料理を注文する。SNSを介し、口コミのように評判が広がる。広告や宣伝ではない情報は、信ぴょう性が高い。売り上げ拡大の原動力になる。いまやWi-Fiは、こうした情報発信に不可欠なインフラだ。

スマホ決済、通訳など店舗の業務基盤に

 インバウンド消費を狙う小売店や飲食店において、Wi-Fi環境の整備が不可欠な理由がもう1つある。外国人向けの業務でネット環境が必須になっているからだ。

 例えば、店舗での決済。日本人客はまだ現金払いも多い。カードや電子マネーの決済は徐々に広がりつつある程度だ。一方、中国人や韓国人の旅行者は、本国ではキャッシュレス決済が当たり前になっている。当然、日本でもそうした決済のニーズは高い。特に近年はスマホにQRコードを読み込ませて買い物の支払いを済ます「スマホ決済」が急拡大している。それを利用するには店舗でネットに接続できなくてはならない。そのためにも、無料Wi-Fiを整備する必要があるのだ。

 また、今後インバウンド需要が伸びるといっても、それを狙う事業者も増え、競争激化は避けられない。そんなときに大切なのは、来店した外国人旅行者ときちんとコミュニケーションが取れることだ。しかし、小規模な店舗で外国語対応は容易ではない。

 そんな中で注目されるのが多言語対応の翻訳ツールだ。翻訳の精度も劇的に上がった。店舗で外国人に製品を説明するといった実用レベルに耐えられるツールも、入手が手軽になってきた。

 翻訳ツールには、ネット接続が不要なタイプと必要なタイプがある。ネット接続不要のタイプは手軽に使えるが、翻訳ソフトのバージョンアップに手間がかかったり、対応言語が少なかったりしがちだ。一方、ネット接続が必要なタイプは、翻訳ソフトが常にバージョンアップを繰り返し、多言語に対応するケースが多い。旅行者が持つにしても店舗が使うにしても、Wi-Fiというインフラが要る。

 しばらく前から、「インバウンド需要対応には無料Wi-Fi導入」といわれてきた。ここにきて、その重要性は増すばかりだ。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です

執筆=山崎 俊明

【MT】

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