ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
2017年7月の九州北部豪雨では、福岡県と大分県を中心に記録的豪雨により30人を超える死者、1000棟を超える建物に全半壊の被害があった。2017年9月の台風18号では、大分などで冠水被害、四国では死者が出た。2016年12月に発生した新潟県糸魚川市中心部の大火では、ラーメン店からの失火が大きな被害につながった。さらには、阪神淡路大震災、東日本大震災を思い起こせば、日本全国どこも災害に巻き込まれるリスクを覚悟しなくてはならない。
「天災はいつやってくるか分からない。来たらそのときのこと」などと甘く考えるべきではない。災害に遭った際には、自分と家族の命を考えるのは当然だ。しかし、家や財産、そして仕事を失ってしまっては、災害後の生活再建に苦労する。
災害に備えるということは、自分や家族の命を守る手立てだけでなく、災害後の生活再建まで考える必要がある。家は動かせないが、耐震性や耐火性を高めれば災害リスクは減らせる。財産は重要なものをひとまとめにしておけば、すぐに持ち出せる。
それでは、仕事を失わないようにする災害対策とは、どのようなものか。ポイントの1つとして仕事に関する情報の保全、バックアップがある。災害によって、建物や家電機器、家財道具などが使い物にならなくなることが想定される。しかし、これらは保険などでカバーすることもある程度可能だ。いうなればお金さえあればなんとかなる。
それに対して、非常に困るのが「情報の消失」だ。大震災で写真やアルバムをなくして、がっかりする被災者の話を耳にする。復元できない情報を失うのが一番厄介なのだ。特に最近は規模を問わず、ビジネスにパソコンなどの情報機器を使っている。その中の情報を失えば、被災後の生活再建は難しい。
中には、「パソコンのデータは外付けのハードディスクドライブ(HDD)にバックアップを取っているから大丈夫」という方もいるかもしれない。しかし、そうしたバックアップは平時のリスクに対するものだ。
外付けHDDを使ったバックアップは、パソコンの調子が急に悪くなったときには役立つが、水害や地震、火災の際には役に立たないと考えなくてはならない。同じ場所にある限り、一緒に流されたり壊れたりするリスクが高い。また災害に遭った際、外付けディスクが近くにあればともかく、財産などと同時に持ち出すのも難しいだろう。災害対策として仕事のデータは、どこにどのようにバックアップしたらいいのだろうか。
大企業では、災害対策として東日本エリアと西日本エリアのデータセンターに、重要情報をバックアップするといった方法が採られる。東日本エリアのデータセンターが万が一被災したとしても、西日本エリアのデータセンターのデータを使って即時にビジネスを復旧できるようにするためだ。
こうした別の場所に保管する考え方は、大企業だけのものではない。中小企業や個人事業者でも、別の場所にデータをバックアップしておきたい。「うちは自宅兼事務所だから、別のデータセンターなんてあるわけないし、万一の備えに高い金は出せない」という方々には、発想の転換をアドバイスしたい。
大げさに考えず、オンライン上でデータ保管庫を活用すればよいのだ。オンライン上では、さまざまなデータ保管庫のサービスが提供されている。プライベートでは、写真などの保管に活用している方も多いのでないだろうか。ビジネスで必要なパソコンのデータも、外付けHDDにバックアップするのではなく、オンラインのデータ保管庫にバックアップしておけば、災害のときでも慌ててパソコンやHDDを持ち出す必要がない。
「そんなデータ保管庫のサービスを使うコストが捻出できないよ」と思う方もいるかもしれない。しかし、プライベートでデータ保管サービスを活用している方はよくご存じだろうが、無料で使えるサービスがたくさんある。
大手企業でもサービスを提供している。無料で使える保管庫サービスのデータ量は必ずしも多くはないが、重要なデータに絞れば、それなりに重宝するはずだ。無料だから、「まず、試しに最重要なデータだけでもネット上に保管してみよう」といった始め方はどうだろうか。
ただし、オンライン上でデータを保管するサービスを利用する場合は、サービス提供事業者へのサイバー攻撃やその他の要因で預けているデータが外部に漏えいすることもある。その上で、利用者IDやパスワードが流出した場合、第三者による不正アクセスにより情報が漏えいする可能性などがあるため、対策はしっかりしておく必要がある。
うちの事務所は大丈夫、うちの地域に災害は来ない――。こうした根拠のない思い込みに安住していてはリスクが高過ぎる。災害後、ビジネスを早期に復旧し、従来と同様に継続し、生活再建を図る。そのために、まずは無料のオンラインのデータ保管庫を活用して、ビジネス継続に必要なデータを預ける安心感を確保しておきたい。
執筆=岩元 直久
【MT】