ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
多様化するビジネスパーソンの働き方。離れた場所にいる社員をサポートやマネジメントするため、AIを駆使して業務の内容や量を可視化するソリューションがある。その特徴と、活用で生まれる可能性を検証する。
NTT西日本が提供する「おまかせAI 働き方みえ~る」は、蓄積されたパソコンの操作ログを使ってパソコン業務を解析する。AIを活用して作業内容を分析するソリューションだ。その名の通り業務の可視化を目的に、個々の社員の「仕事ぶり」を明らかにする本ソリューションは、業務効率化と新たなワークスタイルを模索する企業が活用しやすい、業務の視える化ソリューションだ。2021年7月には新機能がリリースされ、多拠点の管理やリモートでの運用など、今後のマネジメント施策に役立つ仕組みが整備された。
おまかせAI 働き方みえ~るは、業務で使用するパソコンに専用ソフトウエアをインストールするだけで簡単に導入できる。その後はパソコンの操作ログ(電源ON・OFF、ファイル作業時間、Web作業時間など)が記録され、社員がどのような業務を、どれだけの時間をかけて行っているかがデータとして蓄積されていく。操作ログはNTT西日本グループの独自AIで分析され、レポートの形で企業に提供される。専用サイトに表示されたレポートではグラフや図表が数多く使われ、目に見える形で各自の「仕事ぶり」が確認できる仕組みだ。
今回発表されたおまかせAI 働き方みえ~るの新機能は、大きく2点となっている。その内容を紹介しよう。
・日次レポートの提供
業務内容の分析結果をまとめたレポート(月1回ペースで提供)に加え、前営業日までの状況を日々確認できる日次レポートを提供
・アラート機能の追加
日々のレポートの中で普段の行動と異なるもの、注意が必要なものについてアラート(警報)を送信
これまでの月次レポートは、前月の分析結果から業務の課題を見いだし、改善すべき部分や効率化に向けたヒントを提示するものだった。今回日次レポートが追加されたことにより、法定労働の上限規制を超える可能性や、セキュリティリスクにつながる作業を行った従業員への迅速なケアが可能になる。また、月次レポートで深夜作業が検知された際など、気になる作業があった場合には継続的に詳細を確認できる。
アラート機能は、日次レポートで検出された問題をアラートとして管理者に知らせるものだ。特にセキュリティに関する問題(機密情報の持ち出し・印刷など)は一刻も早い対処が必要になる。アラートが出れば、より迅速な対策を講じられる。
これらの機能は、可視化の頻度の増加で対応のスピードアップを図り、課題解決までの時間を短縮する効果が期待されている。また、多拠点化で管理が行き届かない企業やテレワークへの対応として、リモートで自由にデータ確認ができるのも大きなポイントだ。
おまかせAI 働き方みえ~るの日次レポート例
では、実際の業務におまかせAI 働き方みえ~るを導入した場合の活用法について、想定シーンを基に考えてみよう。食品メーカーのA社では、各地にある工場、支店の社員に対するマネジメントに役立てる目的で本ソリューションを導入した。リモートワークを行う社員も増え、一元的なマネジメントの必要性は感じていた。しかし、離れた場所にいる社員を直接目視で確認できない不安を感じていた。そんなとき、日次レポートのアラート一覧から、ある支店の社員が長時間パソコン操作していた実態が分かった。本人に確認したところ複数の担当者が異動して、業務増となったのが原因だった。直ちに本社に報告し、速やかに本人の業務量を減らした。
資材商社のB社は、テレワークで在宅勤務をしている社員のマネジメントについて「目が届かない所で残業、休日出勤をしているのではないか?」と不安を感じ、本ソリューションを導入した。導入後、土・日にパソコンを操作した社員の氏名が「気づき」として日次レポートにアラート表示された。翌日、「隠れ休日出勤」を指摘。隠れ残業を是正できた(現在、アラートはレポート画面に表示されるスタイルだが、今後はメールなどでの通知も予定されている)。
これらの事例は従来の月次レポートでも対応可能なケースではあるが、改善は「可能な限り速やかに」が鉄則だ。1カ月前の事実を指摘しても、「以後注意します」で終わってしまう。問題を見つけたら即指摘する姿勢で緊張感が生まれ、より積極的に改善する意識が育つ。
本ソリューションが持つもう一つの特徴として、深刻さを増しているセキュリティリスクへの対応がある。おまかせAI 働き方みえ~るでは、社員が資料などのファイルを持ち出した場合、その記録を日次レポートで確認できる。
手軽で便利なUSBメモリーは、情報漏えいのニュースでたびたび話題になる。機密度の高いファイルをUSBメモリーに格納した際には、「気づき」としてアラートが表示される。ファイル名に「機密」「重要」といった文言が入っている場合は機密扱いとなる。ちなみに「機密度の低いファイル」ではアラートは出ない。
なお、USB制御機能を活用してあらかじめ利用者の限定も可能だ。ひたすら「禁止」を徹底する以外の方法として本ソリューションを活用し、社員に「記録されているから、しっかり管理しよう」と認識してもらうのも対策として有効といえる。
なお、日次レポートの「個人別」ページでは業務時間や内訳グラフ、要チェック作業件数など、社員の日別作業のまとめが表示される。パソコン作業をしている時間をグラフ表示して業務効率を見極めたり、外部ストレージや転職サイトの利用といった行動を把握したりして、以後の対応に役立てる活用も可能だ。
「日々の勤務実態を可視化して、未来の働き方を考える」。離れた場所にいる社員をカバーするマネジメント体制の構築は、新常態のワークスタイルを考える上で重要なポイントだといえるだろう。
おまかせAI 働き方みえ~るのレポート例:セキュリティリスク
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=林 達哉
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