ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
前回は、伊藤社長が不動産会社を回るときに必ず持って行く三種の神器についても紹介した。第4回は、伊藤社長の会社員時代の振り返りと人材採用で重視するポイント、将来の展望などについて語っていただいた。
ゴールドスワンキャピタル(「地方不動産投資」で高収益投資市場を創出する事業)第4回
伊藤邦生社長。地方にある優良な投資チャンスを探し、投資家に提供するビジネスモデルを構築、新たな投資機会を拡大中だ
幼い頃からパズルや迷路が好きだったという伊藤社長。学校に入ってからは、理数系の科目が好きになり、中でも物理学に興味を持ったといいます。
「数学よりも物理学の方が、表に出ている事象とその裏にあるロジックが奇麗に結び付いているので、ただ単に数学のような概念の世界よりも面白いなと思ったんです。投資や金融の世界もまた、数字とリアルに結び付いているので、自分の好きな物理学の世界とすごく似ているなと感じました」
伊藤社長は京都大学大学院を修了後、24歳で大手証券会社へ入社しました。最初に担当したのは日本国債のトレーディング。それが投資の世界への第一歩でした。その時に「投資のマーケットの世界はなんて面白いのだろう」と感じたという伊藤社長は、そこから2~3年間、毎日終電近くまで相場分析をしたり、セミナーに参加したりして、投資についての理解を深めていきました。
実際に不動産投資を始めたのは28歳のときです。
「当時読んだ『金持ち父さん 貧乏父さん』という本に、労働の対価である給与所得とは別に『不労所得をつくりましょう』ということが書いてあって、単純になるほどと思い、自分でも投資をやってみることにしたのです」と伊藤社長は話します。
ちょうど会社員の不動産投資のブームが始まった頃で、会社員をしながら不動産所得を得る「サラリーマン大家さん」が話題になっていました。
その波に乗るように不動産投資をしてみようと思った伊藤社長ですが、初めは多くの人が考えるように、地方不動産投資には抵抗を感じたそうです。しかし、首都圏近郊で物件を探しても、利回りが低く、あまりもうからない。
その時に「地方には比較的利回りが高い物件がある」という専門家の話を聞いて、2004年に初めて購入したのが千葉県野田市の区分物件でした。価格は310万円で利回りが18%の物件だったといいます。
都心から外れた地方でも、リフォームしてしっかりと入居者を募集すれば、意外と入居付けができることを実感した伊藤社長は、千葉県八街市、茨城県水戸市、福島県郡山市など、現在までに約10棟の物件を購入してきました。銀行でも投資家向けのローンが用意されていたので、それをうまく利用しながら売買していたのですが、物件の運営費を払って、金利を返済し、元金を払っても多少はお金が残りました。
「マーケット自体が洗練されていけばいくほど、アービトラージ(裁定取引/割安な物件を購入できる優良な投資チャンス)はなくなっていきます。逆に、洗練されない、効率化されないマーケットであればあるほど誤差が増えていくので、そういうマーケットを探していたら不動産に行き着き、その中でも最も投資家の少ない地方不動産にたどり着きました」と伊藤社長は振り返ります。
「当時、土日はほとんど地方に物件を見に行っていました。時間的にはハードな毎日で、月曜日はげっそりしながら会社に行くこともしょっちゅうでしたが、好きなことだったので苦にならなかったですね。物件探しは、私にとっては宝探しという感覚です」
その後、地方物件への投資のノウハウをもっと多くの人に伝えていきたいと考え、2011年にゴールドスワンキャピタルを創業しました。
ゴールドスワンキャピタルは創業から4年目を迎えました。今後はさらに人材を採用し、組織力を強化していく予定です。
面接の際に伊藤社長が見るポイントは2つあるといいます。
「コミュニケーションがしっかりできること、そして自分の頭で考えられることの2点を重視しています。不動産投資は相対の取引なので、毎回同じ条件での売買はあり得ません。例えばこの物件は傷みが激しいので売り主にこれくらい安くしてもらおうとか、この部分はオーナーさんに負担してもらって、修繕費をもらおうなどと、一つひとつを組み立てながら投資案件をつくっていく必要があるからです」
自分の頭で考えているかどうかは、履歴書のキャリア選定を見て、「なぜこの会社を選んだのか」「なぜこの道を選んだのか」を聞いていけば、その人の思考の深さが見えてくるといいます。
現在は山梨県に支店を持ち、重点エリアとしていますが、今後は三重県など他エリアへの展開も視野に入れています。
ただし「全国で広く浅くエリア展開していくよりも、狭く深く重点エリアに根差してビジネスをしていきたい」と伊藤社長は考えています。
「不動産投資とは、言い方を変えるとその場所で賃貸ビジネスを行うことです。その土地で商売をするので、その土地に何らかの価値を常に生み出していかなければ、商売は成り立たないと考えています。良い物件を安く地元に提供すること。そうすると入居率は高くなりますし、不動産会社にも当然手数料がたくさん入ってきます。入居率が高くなれば会社にも利益が出るので、再投資がしやすくなる。その繰り返しだと思っています。そうした循環の中で、エリアを絞っていけば、地元の不動産会社とのつながりがより深くなりますので、そうして地域の価値向上にも貢献していきたいと思っています」
地方不動産投資のビジネスは、まだマーケットとしては大きな可能性があると伊藤社長は考えます。
2015年1月1日より相続税が引き上げられましたが、このことも地方不動産への後押しとなります。
伊藤社長のアイデアを生かしビジネスを成功させるためには、現地での細かい気遣いが必要。「運営力」を鍛えた社員たちが伊藤社長を支える
「現在、日本は約1000兆円の借金を抱えています。ただし、日本の個人金融資産が1500兆~1600兆円もあるといわれているので、破綻はしないだろうとされています。そして、その資産保有者の7割が60~80歳代の人たちです。極論すれば、相続税を100%にすれば、30年で1500兆~1600兆円が国に入ってくることになるでしょう。そういう意味でも相続税の増税は免れないだろうと考えています。
そうなると、特に地方では入居率の悪い不動産物件は、売りたいというニーズが多く出てきます。今後、ますます増えていくでしょう。それに対して適切に管理運営できる人はまだそう多くはない。そのマーケットの中で当社の強みを生かして、運営のノウハウを提供していけると考えています」
ゴールドスワンキャピタルは、今後ますます多くの投資家に向けて、「人の行く裏に道あり花の山」の投資で、より豊かな人生を送る手助けをしていくことになりそうです。
『なぜ新事業が起こせるのか?飛躍するベンチャー7社に学べ!』/森部好樹著
執筆=森部 好樹
1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。
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