技術×IT×デザインで楽しさを生むベンチャー(第1回) 面白いものを作ろうという発想で企画を立てる

増収施策

公開日:2015.12.09

GOCCO. 木村亮介社長

――レコード型の紙をiPadにかざすと音楽が流れだす「PITシステム」など、ユニークなビジネスソリューションを生み出している注目のベンチャー企業がGOCCO.だ。連載第1回は代表取締役の木村亮介氏に事業の概要やスタートのきっかけを聞いた。(聞き手はトーマツベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

斎藤:今、木村さんたちが手がけられている領域はかなり多岐にわたります。分かりやすく言うとGOCCO.とはどんな会社なのでしょうか。

木村:基本的にはモノづくり会社です。デジタルの領域におけるモノづくりになりますが、ウェブやアプリというものは大前提として、その先でどんなことができるのか、それを想像しながら実際にカタチにしていく会社です。

斎藤:木村さんとはこれまで何度かお会いしています。GOCCO.は技術とITとデザイン、この3つを掛け合わせてやっているところが、すごくユニークなんですよね。ITだけ、技術だけ、デザインだけが強い会社というのはいくつもある。その3つをバランスよく調和させているところが印象的で、こういう会社って東京ではあまり見たことがない。

得意分野はあるけどそれ以外も広くできる

木村:それが地方の特徴なのかもしれませんが、やっぱり何でも自分たちでやらなきゃいけないというのはありますね。デザイナーでありながらディレクターでもあり、営業的なこともする。ウェブのコーディングもできるし、さらにデジタルファブリケーション、プロトタイプを作るというところまでできる。

 もちろん自分の得意分野はあるんですけど、そこに特化するのではなくそれ以外のことも広くできる、そういう人間が集まっているんです。それぞれみんなの得意不得意、濃淡である部分が重なりあって、これまでとは全然違うものができるという。地方だからこそ、俺たちがやらなきゃみたいな感じもある(笑)。もう本当に次々と新しいことをやれるようになってきた。

斎藤:そういうところは、木村さんがイアマス(IAMAS=岐阜県大垣市にある情報科学芸術大学院大学/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)を卒業している点が影響しているんでしょうか。ビジネスというよりはまず面白いものを作ろうという発想がベースにあるように見えます。ご自身ではその点をどのようにお考えですか?

木村:そうだと思います。大学卒業後、まずいわゆる仕事とはどんなものなのかを知っておきたくて、大日本印刷に入社したんです。3年半ほど働いて、その後、どうしても海外に行ってみたくて、1年半ほどバックパッカーをしながら世界中を旅していました。

 そのときに結構色んなことを考えて、それまで見えていた世界の国や日本が少し違ったものだと感じるようになってきた。やはり本当に自分のやりたいことを追い求めてみよう、掘り下げていこう、そう思ったんです。

斎藤:それで帰国してから、イアマスへ?

木村:学費を稼ぐために1年ほど働いて、それで大学院に入りました。そこには想像していた以上に個性的な人たちがウジャウジャいて、とにかく一日一日がものすごく濃密で。社会人や海外生活を経験してからの大学院生活というのは、それはもうとても貴重なものでした。極端かもしれませんが、そこで過ごした時間は5分ごとに濃密さがやってくる、それくらいの濃度でした。やりたいことがどんどん出てきて、いろんな仲間に出会えて、相乗効果でそのやりたいことがどんどん膨らんでいった。これはもう奇跡でした。それで会社を始めたんです。

斎藤:5分ごとに濃密ってすごいですね(笑)。その頃から今のようなユニークな技術についてイメージが浮かんできたのですか?

木村:その仲間たちと、こういうことがやりたい、こういうことができそうだと考えていく中で、技術的な面では自分たちのやりたいことを実行するためには、第一歩としてはこれをやるという軸を決めていました。一方で、いつかは実現してやろうという別のこともふつふつと温めておく。こういう作業は自分一人では絶対にできません。軸が少しずつ固まってきて、それにつれて最近はいろんなことがやれるようになってきたという実感が湧いてきました。

「楽しさぞくぞく開発中。」を掲げてスタート

斎藤:いま、木村さんたちが技術×IT×デザインで、目指しているのはどんなものですか?

木村:創業時から「楽しさぞくぞく開発中。」を標語にしているんです。その楽しさというものはいろいろな意味があるんですけど、みんなのためになること、便利なものだったりする一方で、わくわくすること、見たこともない驚きとか、そして自ら仕事を楽しんでやっていくという意味も込めた。それをどんどん拡張していって、提案ができる会社を目指しています。

 例えば今、教育の分野では、子どもを対象にしたIT教育に力を入れています。まず、地元でフェス(イベント)をやってみようと。まだ詳細は申し上げられないんですけど、かなり面白い、全然見たことがないものを作るつもりで企画しています。

 つまり、ただのアプリやウェブだけではなくて、それとフェスであったり、みんなが見たこともない企画であったり、いろんなものを掛け合わせていく。教育の分野でも技術×IT×デザインの組み合わせで、これまで誰もやっていない教育手法を試みていきます。分野にとらわれることなく、領域を広げていきたいと思っています。

斎藤:まずその象徴が「PITシステム」だと思います。とてもユニークなものですが、どうやって思いついたんですか。

木村:初めはちょっとした思いつきなんです。PITシステムも2010年ぐらいから、もともとの発案者と面白そうだから研究をしてみようと共同開発を始めました。今では当初想定していたのとは、全く違うものになっています。

日経トップリーダー/藤野太一

※掲載している情報は、記事執筆時点(2015年6月)のものです

執筆=斎藤 祐馬

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

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