人間関係で悩まない!苦手な人が気にならなくなる技術(第10回) 感情と上手に付き合う(下)

コミュニケーション

公開日:2019.03.05

身近な人ほど怒りを感じる

 私たちは相手が身近であればあるほど、この怒りの感情を持ちやすいものです。

 今から、ある場面の話をします。自分の部屋として想像してみてください。あなたの部屋に大きなラグマットがあります。大き過ぎて、家の洗濯機では洗うことができません。しばらく洗っていなかったけれど、今日はとっても天気がいい。わざわざ遠く離れたコインランドリーまで15分くらいかけて行き、キレイにクリーニングしました。

 「はぁ、スッキリ!」と思っていたところに、あなたの弟が部屋に遊びに来たとします。弟はラグマットの上に座り、ジュースを飲み始めました。と次の瞬間、なんと、うっかりこぼしてしまいます。

 さぁ、あなたならどうしますか?「何やってんのよ!洗ったばっかりなのに!」と怒りませんか?

 では、もし、あなたの家に来て同じことをしたのが、憧れの有名人だったら?きっと怒らずに「いいですよ」と許し、さらには「洋服は汚れませんでしたか?大丈夫ですか?」と気遣うのではないでしょうか。

 「ラグマットにジュースをこぼした」という事実は同じでも、長年一緒に育ってきた弟だったら怒ってしまう。これを私は「怒りのバーが上がる(怒りやすくなる)」と呼んでいます。怒りのバーは、家族など自分に近い存在ほど上がり、遠くなるほど下がります。

 会社でも同じでしょう。直属の上司、一緒に働く同僚・後輩など、身近な人にほど怒りを感じるはず。なぜならそれは、存在が近い人ほど「期待」が大きいからです。

 怒りの感情を、一気にゼロにすることはできません。でも、これまで説明してきた怒りの原理を知っていれば、少しずつ減らすことができます。自分の怒りの裏にある感情を“見留め”、怒りを「ぶつける」のではなく、その気持ちを「伝える」よう意識してみてください。

いつも、自分をご機嫌に

 怒りの感情は自分が決めていると、お話ししましたね。相手の感情や行動は変えられないのですから、何とかするのは自分の感情です。決して抑えて我慢しろということではありません。常に自分の感情を丁寧に扱うこと。怒りの反応が起きにくい状態をつくり出しておくこと。つまり、自分を常に「ご機嫌にしておく」ということが、自分でできる方法です。そうすると心に余裕ができて怒りのバーが上がりにくくなりますし、落ち込むことがあっても、すぐに元気な状態に戻すことができます。許せることも増えるはずです。

 元気は“気を元に戻す”ということ。そのためには、自分の気持ちの状態を知っておくことが大切です。人間なので、機嫌の良い日もあれば悪い日もある。誰かがあなたを元気にしてはくれません。

 私は、落ち込んだとき、何か嫌な流れを断ち切りたいときに自分をご機嫌にする、元気にする「スイッチ」をいくつか持っています。例えば、ネイルサロンに行くこと、また、奇麗なお花を買うこと……。

 皆さんにも、「これをすれば自分が元気になる」ことってありませんか?

 例えば好きな音楽を聴く、好きな本を読む、おいしいコーヒーを飲むなど、「これをすればハッピーになれる」ことがありますよね。そういったスイッチをいくつか持っておくと、落ち込んだ気持ちを早く元に戻せるようになります。

 怒りや不機嫌は人とのコミュニケーションを遠ざけます。そこからミスが生まれたり、マイナスのスパイラルに陥りやすくなったりします。

 自分の気持ちを丁寧に“見留め”、落ち込んだときにこそ、上手に元気な状態に戻せる。これができれば、仕事のみならず、生きていく上での強みとなります。

失敗から復活する3つの方法

 誰にだって、失敗してしまうことってありますよね。大リーガーのイチローだって打てない日があるように、どれだけ優秀な人でも失敗してしまうことはあります。

 失敗すると、自分のダメさに落ち込んでしまいますが、ここからはそのマイナスの感情から復活する方法をお伝えします。

(1)感情の成仏(“見留め”る)
 失敗したとき、「なんであんなことしちゃったんだろう……」と落ち込んで、延々と1人頭の中で反省会を繰り広げていませんか?常に過去に向けて原因を探しにいきますよね。もちろん反省も大切です。でも、過ぎたことは変わりません。

 まず「失敗して落ち込んでるな、私」「仕事ができない自分がほんと情けないよね」と自分の感情を“見留め”てあげてください。こうして気持ちを“見留め”ることを私は「感情の成仏」と呼んでいます。ネガティブな感情ほど、しっかりと“見留め”て成仏させてあげてほしいんです。

 感情にいいも悪いもありません。落ち込んでいることが悪いことではないんです。ただ湧いてくるだけ。その感情をただ“見留め”るのです。

(2)失敗したときの「なんで?」はNG
 自分自身に対しても他人に対しても、失敗したときに“なんで?”と責めてしまうことはありませんか?

 うまくいかなかったときの「なんで?」はNGです。

 わざと失敗する人なんていません。悪気なく失敗してしまったことに対して、「なんで?」と責めても、理由なんてほとんどないのです。相手は思考停止に陥り、結局、言い訳しか出てきません。

 過去に向かって「WHY?」と責めるのではなく、「どうしたら次は失敗しないかな?」「いつまでならできる?」と、未来に向かって「HOW」で投げかけたほうが発展的です。

(3)人生は成功か学びしかない
 もう1つ、大事なことは、起こった出来事をどう捉えるかです。事実は1つですが、捉え方はプラスとマイナスの2つあります。

 例えば、大事な場面でミスをしてしまったとき。「ああ~自分はなんてダメな人間なんだろう」と思って落ち込むか、「これが今の実力なのだから仕方ない。次はうまくいくように頑張ろう」と思えるか。

 起こった事実は1つです。それをどう受け止めるかによって未来は変わります。

 起こった出来事は変えられません。でも、その意味付けは変えることができます。

 発明王のエジソンは大きな成功を残しましたが、実は失敗が多かったことでも有名です。すべての実験がうまくいったわけではありません。ある日、実験の失敗を嘆いた助手に対してエジソンはこう言ったそうです。

「それは失敗じゃない。その方法ではうまくいかないことが分かったという、成功なんだよ」

 このことから、エジソンは「失敗は学び」であることを教えてくれています。

 失敗を糧にして自分の成長につなげられるか、そのまま落ち込んで力を発揮できないまま終わるかは、自分の捉え方次第です。

 また、無難な仕事や無難な方法だけで日々を過ごしている人は、失敗もないけれど、成功もありません。失敗したということは、挑戦したということです。頑張って挑戦した自分に丸印をして(経過承認)、腐らずに努力を続けてくださいね。

<第9回と第10回のまとめ>
1 怒りの裏には「期待」や「心配」など本当の気持ちが隠れている
2 いつも自分がご機嫌でいられる工夫をする
3 失敗に「なぜ?」は不要。無駄にせず次の手を考えて

執筆=山﨑 洋実

コミュニケーションコーチ。1971年静岡県生まれ。大手英会話学校勤務時代に、接客&人材育成の楽しさを知る。2000年にコーチングに出合い体系的に学ぶうちに、これまでやっていたことがコーチングだったと知る。出産後、身近なママ友向けに始めた講座「ママのイキイキ応援プログラム」は常に笑いあり、涙ありで心に響き、かつ本質を伝える講座として瞬く間に全国区へ。講座内容が仕事にも役立つことから企業研修、講演会を全国で開催。

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