ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
店舗や工場、倉庫などの状況を「見える化」する王道は、監視カメラの導入だろう。管理室から映像でリアルタイムの状況を把握でき、一定期間遡って過去の状況確認も可能だ。人間の目で映像を確認するため、状況判断がしやすい。
しかし、使い勝手の良い監視カメラにも、弱点はある。1つは監視カメラシステムの導入・設置のコスト。カメラやビデオレコーダー、モニターなどの機器は、法人向け製品は思いのほか価格が張る。その上、取り付けや配線などの手間とコストも加わる。中小企業にとっては導入のハードルが高い。
もう1つが、機器の故障や破壊の問題だ。見落としがちだが、監視カメラを確実に運用するにはメンテナンスを含めた運用コストがかかる。故障したら、修理や買い替えも考慮しなければならない。また、監視カメラのそばにレコーダーがあるタイプの場合、破壊されたり、持ち出されたりすると、せっかく捉えた「証拠」がなくなる。防犯用に導入したのに、これでは役に立たない。
そうした残念な事態に陥らずに済む監視カメラのソリューションとして、クラウド型カメラサービスが登場している。導入・利用がしやすいサービスの1つに、NTT西日本が2019年12月に提供を始めた「クラウド型カメラとれ~る」がある。
クラウド型カメラサービスは、その名の通りにカメラで撮影した映像をクラウドに保存して利用する。従来型の監視カメラシステムでは、店舗や事務所、管理室などに設置したビデオレコーダーに映像を保存するのが主流だった。事業者が提供するクラウドに映像を保存すると、使い勝手が大きく変わる。
最大のメリットは、クラウドへの映像保存により、撮影したデータがより安全に保管されるところだ。データはネットワーク経由で、即座にクラウドのストレージに保存される。万が一、店頭のカメラが壊されても、その瞬間までのデータはクラウドにしっかり残る。
火事のケースを想定してみよう。監視カメラとビデオレコーダーを現地に設置した場合には、記録したレコーダーが焼けてしまえば、データが残らない。クラウド型カメラサービスならば、カメラやネットワークが機能しなくなる直前までの映像記録がクラウドに残る。原因究明や対策に役立てられる。
状況を管理する側のデバイスを選ばないのも、クラウド型カメラサービスの大きなメリットだ。専用機器を使ったモニター画面でしか確認できない監視カメラシステムと異なり、クラウド型カメラサービスでは他のクラウドサービスと同様に、Webブラウザーからサービス画面にアクセスすればよい。パソコンだけでなく、スマホやタブレットでも映像をリアルタイムに確認できるのだ。店舗や工場と離れた事務所からでも、出張先からでもよい。トラブルが発生したときに、過去の状況を確認することも、場所を問わずに可能だ。
クラウドサービスというと、自由度が低くカスタマイズできないイメージがある。「カメラの選択肢が狭く、用途に応じたものが選べないのでは」という声が聞こえてきそうだ。実際はどうだろうか。NTT西日本のクラウド型カメラとれ~るを例に見てみると、まず大きく2種類の利用形態が用意される。1つはカメラも月額料金に含めてレンタルする「レンタル型」、もう1つはカメラを自前で用意する「お客さま用意型」だ。
レンタル型では、卓上型のネットワークカメラを提供する。省スペースで設置できるネットワークカメラで、レジ回りなどの卓上に置くだけで利用できる。有線のLANケーブルで接続するほか、Wi-Fiにも対応する。電源とWi-Fiの環境があれば、設置場所に困らない。レンタル型で使えるカメラは屋内専用で、標準的なカメラ画角を持つものになる。
レンタル型指定カメラ端末は店舗のカウンターに置いても違和感がない
お客さま用意型では、NTT西日本指定のカメラを約10種類用意する。天井への設置、屋外での利用、広い画角、赤外線対応などのバリエーションから選択ができる。
クラウド型カメラサービスは、導入のための初期費用をかけずに利用開始できる点もメリットだ。クラウド型カメラとれ~るでは、レンタル型で利用するならば初期費用※は不要。月額料金はカメラレンタル代金も含めて、30日の録画保存プランで、4180(税込)円と手ごろだ。「フレッツ 光ネクスト」などのインターネット接続回線があれば、初期導入費用を考えず、短期間で“サービス”を導入できる。
※カメラの設置工事が必要な場合は、別途工事料金がかかる
クラウド型カメラサービスには、その名の通り“サービス”であるメリットが付随する。中小企業の経営者は本業で忙しい。監視カメラの設定やメンテナンスに時間を割けられない。クラウド型カメラとれ~るでは、サポートセンターが遠隔での操作説明や故障受付を受け持つ。レンタル型の場合には、カメラの故障時に予備機の提供や交換作業を実施してくれる。監視カメラの故障を忙しさにかまけて放置し、いざというときに役立たない……に陥らずに済むのだ。
初期費用なしで始められる。どこからでもアクセスが可能で、データの保存がより安全確実。クラウドの利点を上手に使って、「状況の見える化」が低コストですぐに実現できる。監視カメラの必要性を感じながらも、コストや運用に課題を感じていた経営者にとって、データが“生きる”クラウド型カメラサービスは、その解決に導く選択肢の1つになるだろう。
執筆=岩元 直久
【M】
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