注目のAIソリューション(第2回) 業務分析にAIを活用。ハードル低い

自動化・AI

公開日:2019.08.07

 日本では少子化に伴う人手不足、そして長時間労働が大きな課題となってきた。社内の労働環境の改革を進めている企業も少なくない。ただし働き方を改革し、社員の就業時間を減らしても、業績を落とすわけにはいかない。つまり、業務の効率化、生産性の向上が必須だ。その有力なツールとして、今注目されているのがRPA(Robotic Process Automation)。オフィスのパソコン作業を自動化するシステムである。

 これまで生産現場では、ロボットの導入により生産性の向上が図られてきた。今回のターゲットは、どんな企業でも多かれ少なかれ必ず行われるパソコンの作業。パソコンをロボットが操作してくれると考えると分かりやすい。RPAの導入で、パソコンの定型作業を自動的に処理できるようにすれば、その人員をより創造的な作業に振り分けられ、生産性の向上に寄与する。

パソコン業務の“見える化”が必要

 RPAは、メディアで取り上げられる機会も増えた。導入した結果も報じられ、有効性は広く知られるようになった。しかし、導入に二の足を踏んでいる企業も少なくない。大きな理由に「どの程度、RPAで置き換えられる作業があるか分からず、効果が見えない」がある。

 RPAを導入するには、まず社内のパソコンで行われている作業内容とフローを分析し、RPAで自動化すべき定型作業を抽出する必要がある。頻度が低い特殊な作業をRPAで自動化しても、効果は限られる。作業頻度の高い単純な作業ほど効果は大きい。

 しかし、従業員それぞれのパソコンで、どのような作業が、どのようなフローで行われているかを把握するのは容易ではない。個々のパソコンで日々、どのような作業が行われているかを調べるために、「人」に依頼してチェックしてもらうのは、時間も費用もかかる。実際にパソコンを使う従業員に申告してもらったり、ヒアリングしようとしたりしても、正確性が問題になったり、業務に支障が出たりもする。特にパソコンの台数が多い場合には、人的な方法は現実的ではない。

 そこで浮上するのが、従業員が使用中のパソコンの操作ログを集めて分析する方法だ。ただ、パソコン1台ずつログを集めても、人の力によってRPAで自動化すべき作業を抽出するのは、非常に手間がかかる。それを効率化するために、AI(人工知能)を活用したサービスが登場している。

AIを使ったログ分析を実際に見てみる

 RPAツールの導入を検討する企業に対して、NTT西日本ではAIによるパソコンログ分析サービス「おまかせAI 働き方みえ~る」を提供している。

 RPAで自動化する対象になるのは、パソコンで「繰り返し行われている業務」。まずはそれに費やしている時間がすぐ分かるように、本サービスでは、分析対象とした従業員のパソコンで行っている総業務時間を、「繰り返し作業」「PC作業時間」「PC作業をしていない時間」の3つに振り分ける。

 さらに、「繰り返し作業」を詳細に分析し、作業の中で同じようなパターンがないかをAIで検出する。検出したそれぞれのパターンについて、現状の総作業時間、つまり自動化できる可能性のある時間を提示し、RPA導入の優先度をアドバイスする。優先度については、作業時間だけでなく作業フローも解析し、RPA導入の難易度も考慮する。作業フローがあまりにも複雑だと、RPAに置き換えるのは難しいからだ。

●レポート画面イメージ
(1)業務時間から繰り返し作業を抽出

(2)繰り返し作業を詳細に分析

(3)繰り返し作業についてRPAでの自動化を検討

導入効果が分かると、社内稟議(りんぎ)も通る

 RPAの導入を検討する際にネックになることの1つに、本当に効果があるのかがはっきりしないため、社内の承認が取りづらいという問題がある。本サービスを活用してデータを用意すれば、納得してもらいやすい説得材料を作成できる。対策優先度の高い作業の所要時間を合計して、その分の人件費を計算し、RPA導入コストと比較すれば、費用対効果は明確になるからだ。

 さらに、本サービスはRPAの導入にだけ役立つものではない。従業員それぞれが、パソコンでどの時間帯にどのような作業を行っているかも可視化され、組織全体の働き方改革の推進資料としても有用となる。作業分担や作業スケジュールの見直しなど、分析結果を基に、組織全体の業務改善を図れるのだ。

従業員個別のパソコンログ分析イメージ


 生産性向上のかじを切るには、まず現状の業務状況の正確な把握が不可欠だ。それによって単純作業をRPAに置き換えて自動化することに加えて、業務全体の見直しもできる。業務状況を明確にするAIのパソコンログ分析は、改革を進める強力な後押しになるだろう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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