ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
日々、当たり前のように交換している名刺。ベテラン曰く、お客さまとのファーストコンタクトはどんなときでも気持ちが引き締まるといいます。社員教育に力を入れている企業なら、名刺交換時の振る舞い方1つで、ビジネスマナーの練度つまり仕事の経験値を見透かされてしまう可能性もあります。それだけに名刺にまつわるマナーは、ビジネスパーソンとしての原点ともいえます。
そこで今回は、名刺交換の基本的なマナーをおさらいするとともに、名刺管理の便利なグッズや、資産として活用するためのサービスについて紹介します。
名刺交換はごく短い時間で行われるため、うっかりすると基本的なマナーを怠りがちです。大切なことは、マナーとは相手を思いやる気持ちが行動に表れることです。手順や型を守ることがマナーでしょ!とならないように気を付けてください。
直接会って名刺を手渡しで交換することは、一期一会の感謝と誠意を示すのと同時に、お互いの人柄を知る重要な機会です。メールなどでは計り知れないことが伝わる場だからこそ、相手をおもんばかる気持ちが表れます。
●名刺交換のポイント
一般的な名刺交換では、仕事の発注者に対して受注者から先に出します。その際、受注者側は上司から先に差し出し、続いて、上司が部下を紹介するという形で部下が名刺を差し出します。
例えば、部下を紹介する際というのは、「わが社のエースの〇〇です」と口添えしたり、「〇〇について詳しいので紹介させていただきます」と話のネタを仕込んだり、上司の営業スキルが問われる瞬間だったりします。もちろん、2人の呼吸が合えば、部下も一言添えて名刺を交換することもできます。
名刺を差し出す際には自然と「これからよろしくお願いします」という姿勢が表れます。その気持ちがあるからこそ、相手に歩み寄ったり、差し出された名刺より低い位置で名刺を差し出したりする行動へとつながります。名刺の情報をそのまま読んで伝えるのは定石ですが、「私が担当します」という意思表示こそが大切です。故に、何を担当するのか、誰であるのかをハッキリ伝えることで、お客さまの覚えもよくなるのではないでしょうか。
受け取った名刺をすぐにしまうと、「受け取ったけれども興味がない」という態度を示しているように受け取られてしまいますので、面会時間中はテーブルの上に置き、常に確認できる状態にしておきます。その際、相手の名刺は名刺入れの上に載せたまま、筆記用具を使用する際に引っかけてしまわないように、書類などの左側に置くのが一般的です。
ポイントは、名刺を1枚の紙片と捉えるのではなく、相手そのものだと感じること。故にいただいた名刺を大事にすることが、相手を大事にする行動になって表れるのです。
●相手を思いやる気持ちが感じられない行動例
では逆に、やってはいけないのはどんな所作でしょうか。例えば「机やテーブル越しに名刺を差し出す」のは、面倒くさがっていると見られてしまいます。スポーツなどでよくいわれる「リスペクトがない」状態です。同様に「シワや折れ、汚れた名刺をわたす」のも失礼に当たるのは当然ですよね。
受け取り方についても、マナー違反もしくはマナーがなっていないと見られる行動があります。例えば「受け取った名刺をそのままポケットにしまう」行為は、名刺を大切に扱えない人物だと見られてしまいます。名刺や人を大切にしない相手と、進んで一緒に仕事をしたいという方は多くないでしょう。「ポケットから取り出して渡す」という行為も同様で、自分を大切にできない人とは一緒に仕事をしても上手くいかないものです。
では、名刺とは――個人情報、人脈を広げるきっかけ、企業にとっては資産です。ビジネスの相手からもらった1枚の紙片を通して、どれだけ相手を思いやることができるか。扱い方だけでなく、名刺の管理方法まで気を配りたいところです。加えて、名刺の活用方法や社内共有という視点で、データベース化することを検討してみてはいかがでしょうか。
例えば、キングジムのデジタル名刺ホルダー「ピットレック DNH20」は手のひらサイズのガジェットで、1台で名刺の撮影とデータ管理が行えます。名刺を立てるスリットとカメラが一体化されており、液晶画面からのワンタッチ操作で、名刺を画像データとして取り込むことができます。同時に、OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)機能で最大12項目のテキストデータを作成してくれます。データ化した後は、検索機能では会社名や氏名といった情報に加え、会った日付などでも検索できることが特徴です。
もっと手軽に、手持ちのスマートフォンで名刺を管理する場合は、イントシグの「CamCard」というアプリがオススメです。スマートフォンで名刺を撮影するだけで自動的にデータ化。検索や並べ替えに加え、昇進や異動などの追加情報や相手のやり取り履歴も添付できます。
どちらも手のひらに収まるサイズ。パソコンを使わずに名刺を取り込めるため、外出時や出張中にも名刺管理ができるので便利です。
最近では、名刺を企業全体の重要な資産として活用すべきだ、という考え方が広まっています。個人や部署などの垣根を越えて、名刺情報を社内で共有して活用できるシステムが注目されるようになっています。
例えばSansanの「Sansan」ハンモックの「HotProfile」は名刺管理システムとして著名です。いずれのシステムも、名刺を撮影・スキャンすることで画像・テキストデータに変換されて、クラウド上のデータベースに保存されます。
これらのシステムは名刺情報を参照できるだけでなく、新たに入手した名刺から部署移動や役職が変わるなどの情報更新が行えたり、前任者のメモを参照できたりなど、顧客管理や営業支援に活用できる機能を備えていることが特徴です。
このように、名刺とICTが化学反応を起こすことで名刺の有効性を見直す動きが浸透し始めています。デジタル社会における、社会人の身だしなみの1つとして、机の中で死蔵している名刺を生きた資産へと変換することを検討してはいかがでしょうか。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年4月11日)のものです
執筆=地蔵重樹
フリーライター。ニュースサイトやオウンドメディアなどのWebコンテンツや、書籍のライティングを行う。
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