地域活性の焦点(第3回) 自治体存続のカギとなる民間ノウハウの活用

人手不足対策 地域活性化

公開日:2018.01.31

 少子高齢化が進み、人口減少社会に突入した日本。国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集(2017年改訂版)には、日本の総人口は2015年の1億2709万5000人から、2040年は1億1091万9000人、2060年には9284万人に減少するという推定データがある。

 こうした人口減少の傾向を受けて、2014年、出生率が改善しなければ2040年には全国の市区町村の半数が存続の危機に直面する可能性があるとのショッキングな提言を、日本生産性本部が組織した日本創生会議が行い、大きな話題になった。存続の危機は言い過ぎにしても、手をこまねいていては将来の発展が危ぶまれる地方自治体もあるだろう。

地域活性化の取り組みの妨げ

 東京への一極集中が進む中、今後も地方自治体が生き残るにはどうすればいいのだろうか。政府は「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」を打ち出し、(1)地方に仕事をつくり、安心して働けるようにする(2)地方への新しい人の流れをつくる(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる(4)安心な暮らしを守り、地域同士が連携する――といった政策を進める。さらに、情報、人材、財政の3つの側面から、「自助の精神」を持って意欲的に取り組む自治体を支援するとしている。

 地方を元気にするには、地域経済を活性化し、雇用を創出する必要があり、住民が安心して子育てや老後の生活ができる環境づくりが急務になるはずだ。ただ、いくら自治体が自助の精神でこれらに取り組もうとしても実際には難しいこともある。それは、こうした分野のノウハウを十分に持っていない自治体も少なくないからだ。それをカバーし、新たな取り組みを早急に実行する助けとなるのが、民間の力を活用することだ。

自治体と企業が連携してICT利活用を推進

 近年、自治体と民間企業が連携して社会的課題の解決に取り組む「包括連携協定」が急速に広がっている。民間企業が持つ事業の企画・立案・実施などに関わるノウハウや経験を活用し、地域の活性化などに役立てる狙いがある。民間企業のノウハウを活用したい自治体と、自社のノウハウやネットワークを生かして新たなビジネスの拡大や、社会貢献を考える企業の思惑が一致した格好だ。

 コンビニエンスストアチェーンやスーパーマーケット、金融機関、ITなど、さまざまな業種の民間企業が自治体と連携協定を結び、自治体の課題である産業振興や子育て、環境、福祉、安心・安全な地域づくりなどの分野で力を合わせて取り組む例は少なくない。

 自治体と民間企業の連携で効果が期待される分野の1つが情報通信技術(ICT)分野だ。ICTは進歩が非常に目覚ましいこともあり、精通した人材を確保・育成するのが、自治体内部ではなかなか難しい。ただ、一方で、ICTは自治体が提供する行政サービスの基盤であり、今後の施策に取り入れることが必要だ。こういった背景の中で、自治体は民間の通信事業者やIT企業と連携し、そのノウハウを取り入れることでICTを活用した新たな住民サービスを企画・立案する動きが進んでいるのだ。

執筆=山崎 俊明

【MT】

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